「もうすぐ確定申告の時期だから、何を経費として計上できるのか知っておきたい」
「所得税・住民税をなるべく安く抑えるために経費を片っ端から計上したい!」
このような方に向けて、当記事ではアパート・マンション経営で経費として計上できる項目を完全網羅しています。
アパート・マンション経営の利益(所得)に対してかかるのが、所得税・住民税。
「所得税・住民税=所得(売上-経費)-各種控除×税率」なので、経営にかかったお金をできるだけ経費として計上すれば税額を圧縮できます。
- これから計画を立てるオーナーさん
- すでに経営をスタートさせていて、確定申告を控えているオーナーさん
いずれの方も、このページを読んでアパート・マンション経営における経費をマスターしてください。
■確定申告に必要な書類6つ
- 現金出納帳=「現金取引」の収支額・内訳を記録する帳簿
- 預金出納帳=「預金」の出し入れを銀行ごとに記録する帳簿
- 収入帳(売上帳)=家賃・礼金・敷金・更新料・共益費など「収入」を記録する帳簿
- 経費帳=修繕費・租税公課・借入金利子、青色事業専従者給与など「費目」を記録する帳簿
- 固定資産台帳=家屋本体・設備などの「減価償却費」を記録する帳簿
- 総勘定元帳=すべての取引を勘定科目ごとに記録していく帳簿。「青色申告」をするときに必要
今手元にある人はあわせて参照してください。
■税金を考慮した”より精密な事業計画”を立てるべき
事業の成否の8割が計画で決まると言われているアパート・マンション経営。
税金を考慮した”より精密な事業計画”を立てれば、成功確率は一気に上がります。
このページを読んで、経費として計上できる項目を把握した上で、所得税対策を含めた事業計画を練り直してみてください。
下でご紹介しているリビンマッチを活用して、税務・会計に強い不動産会社をブレーンに持つのもアリです。
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関連記事以下の記事では土地活用の基礎知識について網羅的にわかりやすく解説しています。
【アパート・マンション経営の経費】毎年の経費として計上できるもの5種類
アパート・マンション経営の経費のうち、毎年の経費として計上できるものは次の5種類です。
- 減価償却費
=建築費・設備費用・資本的支出の3つ - アパートローンの利息
=建築費の2.5~3% - 管理費
=管理業者への支払い・青色事業専従者給与の2種類 - 固定資産税・都市計画税
=土地:1/6・1/3、家屋:1/2に減税される - 個人事業税
=所得500万円の場合で10万5,000円
①<減価償却費>=建築費・設備費用・資本的支出の3つ
アパート・マンション経営における次の費用は、減価償却費として処理します。
- 建築費
- 設備費用
- 資本的支出
いずれも、「支出した金額÷耐用年数=減価償却費」が1年分の費用となります。
減価償却費とは?減価償却=長期間使用する資産を買ったとき、その資産が使える期間(=耐用年数)に振り分けて費用を計上すること。
耐用年数は、資産の種類ごとに法律で決められている。
減価償却費=減価償却した資産にかかる1年分の費用。
たとえば10年間使えるパソコンを10万円で購入して減価償却した場合、購入した年に10万円を経費計上せずに毎年1万円ずつ(10万円÷10年)経費として計上できる。
この時減価償却費は1万円。
「建築費」=アパート・マンション本体の建築費
減価償却費の中で一番金額が大きいのが家屋(アパート・マンション)の建築費。
家屋の構造によって耐用年数が違うので、減価償却費として計上する金額も異なります。
■家屋の耐用年数・減価償却費
家屋の構造 | 耐用年数 | 減価償却費/年 (建築費5,000万円) |
---|---|---|
木造 | 22年 | 5,000万÷22年 =227万2,727円 |
鉄骨造 | 19~34年(※1) | 5,000万÷34年 =147万588円 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 | 5,000万÷47年 =106万3,829円 |
(参考:国税庁 耐用年数(建物・建物附属設備))
「設備・外構費用」=土地・家屋以外の10万円以上のモノにかかる費用
アパート・マンション経営の設備・外構費用(土地・家屋の10万円以上のモノ=償却資産)は減価償却できます。
アパマン経営で必要な主な設備・費用目安は、次のとおりです。
■主な設備・外構費用の減価償却費
耐用年数 | 減価償却費/年 | |
---|---|---|
ルームエアコン | 6年 | 12万円の場合 12万÷6年=2万円 |
フェンス | 10年 | 50万円の場合 50万÷10年=5万円 |
コンクリートブロック塀 | 15年 | 90万円の場合 90万÷15年=6万円 |
なお家屋に付随するものだけでなく、経営上必要なもの(パソコンなど)も経費として扱うことができます。
■青色申告をしている場合=30万円未満の資産が非課税
青色申告をした場合「1つ30万円未満かつ合計300万円未満」の資産が償却資産としてみなされなくなり非課税です。
- パソコン:10万円×1台=10万円
- 外灯:20万円×2=40万円
- エアコン:20万円×10台=200万円
通常なら合計金額の250万円(10万+40万+200万円)を計上できますが、青色申告をしている場合は経費として計上できません。
「青色申告承認申請書」を税務署に提出して、承認を受ける必要がある。
「資本的支出」=家屋の価値を高めるために使った費用
- 2DKから1LDKに間取り変更する
- アパートの外観を流行のデザインにリノベーションする
など、家屋の価値を高めるために使った費用の一部(資本的支出)も、減価償却費として処理します(※)。
なお「資本的支出」と似たものに「修繕費」があります。
よく話題にのぼる「外壁の塗装」については、ある程度決まったサイクルで塗替えるなら「修繕費」となるケースが多いです。
(※資本的支出は修繕費と異なり、全額を経費計上できるワケではありません。)
②<アパートローンの利息>=借り入れ金額の2.5~3%
アパートローン(賃貸物件を建てるときに使えるローン)の利息は、借り入れ金額の2.5~3%/年が目安です。
金利の相場・1年間に支払う利息の具体例は次のとおり。
アパートローンの金利・1年間に支払う利息
- 固定金利:年3%~
⇒借入期間中、利率は固定 - 変動金利:年2.5%~
⇒景気変動に伴う利率見直しがある(半年ごとなど)
【計算例】1年間に支払う利息
■建築費:5,000万円
■借入期間:25年
■利率:4%(固定金利)
■1年間の返済元金:200万円
⇒1年間あたりの利息=200万×0.04=8万円
ただし初めてアパート・マンションを経営する場合、家屋完成前に支払った利息は経費として計上できません(※2)。
経費計上できるのはあくまで建物が完成した後に支払った利息になります。
(※2)他のアパートを経営している場合は、家屋完成前に支払った利息を経費として計上できます。
③<管理費>=管理業者への支払い・青色事業専従者給与の2種類
アパート・マンション経営の管理費は次の2種類です。
- 「管理業者」への支払い
- 「青色事業専従者給与」の支払い
=経営を手伝う家族に支払う給与
「管理業者」への支払い
管理業者への支払いは、経営方式によって、次のように金額が変わります。
経営方式 | 管理費 | 10部屋・家賃10万円 の管理費(満室時) |
---|---|---|
①集金管理 | 全家賃収入×3% | 10×10万×0.03 =3万円/月 |
②滞納保証 | 全家賃収入×5% | 10×10万×0.05 =5万円/月 |
③サブリース | 家賃収入(満室時)×10~15% | 10×10万×0.1~0.15 =10万~15万円/月 |
ただし、上記はあくまで目安です。
管理会社によって「どこまで管理してくれるか」「管理費がいくらになるのか」が変わるので、確認しておきましょう。
「青色申告専従者給与」の支払い
青色申告をしている場合、経営を手伝う家族への給与(青色申告専従者給与)は、全額経費として計上できます。
青色事業専従者として認められるのは、次の3つを全て満たしている人です。
- オーナーと生計を一にしている配偶者・親族であること
- その年の12月31日時点で15歳以上であること
- オーナーの事業(アパマン経営)に年間6か月以上従事していること
青色申告とは?確定申告の方法の1つ。通常(白色申告)より手間がかかるが、さまざまな所得税の優遇が受けられる。
④<固定資産税・都市計画税>=土地:1/6・1/3、家屋:1/2に減税される
土地・家屋に対してかかる固定資産税・都市計画税の税額は次のように計算します。
【計算式】固定資産税・都市計画税■固定資産税=課税評価額(※3)×税率(1.4%)(※4)
■都市計画税=課税評価額(※3)×税率(0.3%)
(※3)土地・家屋の固定資産税を決める時にもとになる金額。土地30万円・家屋20万円未満であれば非課税。
(※4)地域によっては財政難などの理由で税率が引き上げられることがある
ただしアパート・マンション経営では、以下の減税特例があります。
- 土地
⇒固定資産税1/6・都市計画税1/3に減税される - 家屋
⇒新築住宅の固定資産税が1/2に減税される(都市計画税は減税されません)
土地=固定資産税1/6・都市計画税1/3に減税される
土地に家屋(アパート・マンション)が建っている場合、固定資産税・都市計画税がそれぞれ最大で1/6・1/3に減税されます(住宅用地の特例)。
減税のしくみは次のとおり。
土地面積が「部屋数×200㎡」より大きいかどうかで、減税額が変わってきます。
【計算式】住宅用地の特例
- 「部屋数×200㎡」までの部分(小規模住宅用地)
⇒固定資産税:1/6・都市計画税:1/3 - 「部屋数×200㎡」を超えた部分(一般住宅用地)
⇒固定資産税:1/3・都市計画税:2/3
【計算例】小規模住宅用地にかかる固定資産税・都市計画税
■土地の面積:200㎡
■評価額:14万円/㎡
■固定資産税:200㎡×14万×0.014×1/6≒65,000円
■都市計画税:200㎡×14万×0.003×1/3=28,000円
ただし、減税されるのは総床面積(家屋の各階の面積をすべて足した面積)の10倍まで。
2階建てアパートなら「建築面積(※5)×5倍」までの土地の固定資産税が安くなります。
(※5)建築面積=家屋の1階部分の床面積
家屋=新築住宅の固定資産税が1/2に減税される
- 平成32年3月31日までに新築された住宅であること
- 居住部分の床面積が「家屋全体の1/2以上」であること
- 居住部分の床面積が「一戸あたり40㎡ 以上 280㎡ 以下」であること
以上3条件を満たした新築アパートにかかる固定資産税は、新築後3年間、1戸あたり120㎡までの部分が、1/2に減税されます(都市計画税は減税されません)。
たとえば、
- 建築費:5,000万円
- 課税標準額:5,000万×0.6=3,000万円(建築費×60%で概算)
の場合、21万円(3,000万×0.014×1/2)となる計算です。
⑤<個人事業税>=所得500万円の場合で10万5,000円
個人事業税は、10部屋以上のアパート・マンションを経営しているときに発生します。
たとえば所得500万円の場合、10万5,000円となる計算です。
税額の計算方法・具体例は次のとおり。
【計算式】個人事業税個人事業税=(所得額-事業主控除290万円)×税率5%
- 申告:3月15日までに、税務署に申告
- 納付:2期(8月・11月)にわけて納付
【計算例】
■家賃収入:850万円
■ランニングコスト:350万円
■所得:500万円
■個人事業税:(500万-290万)×0.05=10万5,000円
だいたい事業所得の50分の1から40分の1くらいの金額感になります。
【アパート・マンション経営の経費】初年度のみ経費として計上できるもの5種類
アパート・マンション経営の経費のうち、次の5種類のものは初年度の経費として計上できます。
- <登録免許税>
=10万~40万円 - <不動産取得税>
=建築費×約2.4% - <印紙税>
=建築費3,000万円の場合で30,000円 - <保険料>
=申告年度にかかる金額のみ経費になる - <その他>の費用5つ
(参考:国税庁)
①<登録免許税>=10万~40万円
登録免許税は、建築した家屋(アパート・マンション)を登記するときにかかる税金です。
金額は家屋の大きさによりますが、約10~30万円。
司法書士に登記を依頼すると、約10万円がプラスされます。
具体的な計算方法は次のとおり。
【計算式】登録免許税新築住宅には、次の2種類の登記が必要で、それぞれ登録免許税がかかります。
- 所有権保存登記
⇒固定資産税評価額(※1)×税率(0.4%) - 抵当権設定登記
⇒借り入れ金額×税率(0.4%)
(※1)新築住宅を登記する時点では、課税標準額は決まっていない=「新築建物課税標準価格認定基準表」をもとに決める。
【計算例】
■家屋の床面積:200㎡
■家屋の課税標準額:87,000円/㎡
■借入れ金額=3,000万円
■登録免許税
・「所有権保存登記」への課税額:87,000×200×0.004=69,600円
・「抵当権設定登記」への課税額:3,000万×0.004=12万円
⇒合計18万9,600円
②<不動産取得税>=建築費×約2.4%
家屋(アパート・マンション)を取得したときにかかる不動産取得税の金額は、建築費×2.4%が目安。
建築費3,000万円の場合は、72万円になる計算です。
【計算式】不動産取得税不動産取得税=課税標準額×税率(4%)
【計算例】
■建築費:3,000万円
■課税標準額:3,000×0.6=1,800万円(建築費の60%)
■不動産取得税:1,800万×0.04=72万円
「1部屋40~240㎡」の家屋=経費にならない
「1部屋」の床面積が40㎡以上240㎡以下の場合、不動産取得税は非課税になるので経費になりません。
40㎡=約22畳=「家族5人がゆったり過ごせるリビング」くらいの広さと考えてください。
不動産取得税の1,200万円控除「1部屋」の床面積が40㎡以上240㎡以下の場合、「固定資産税評価額(1部屋分)-1,200万円」の控除を活用できる。
「1部屋の評価額=1,200万円」という物件は考えられないので、1部屋40~240㎡のアパート=非課税と考えてOK。
■控除を受けるためには申請が必要
- 申請期限:家屋を取得してから60日以内
- 申請先:都道府県税事務所
③<印紙税>=建築費3,000万円の場合で30,000円
印紙税は、アパマン経営に関係する契約書を作成するときにかかかります。
契約書 | 建築費・借り入れ金額 | 税額 |
---|---|---|
工事請負契約書 =アパート・マンションを 建築するときに交わす |
1,000万円超~5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円超~1億円以下 | 30,000円 | |
1億円超~5億円以下 | 60,000円 | |
金銭消費貸借契約書 =アパートローンを 組むときに交わす |
1,000万円超~5,000万円以下 | 20,000円 |
5,000万円超~1億円以下 | 60,000円 | |
1億円超~5億円以下 | 10万円 |
たとえば建築費3,000万円の場合は、30,000円(10,000円+20,000円)かかる計算です。
なお印紙税は「契約書に消費税額が表示されているかどうか」で、以下のように税額が変わります。
- 消費税額が表示されている
⇒「税抜き金額」に対して、課税される - 消費税額が表示されていない
⇒「税込み金額」に対して、課税される
④<保険料>=申告年度にかかる金額のみ経費になる
火災保険や地震保険などアパート・マンション経営の保険金は、申告する年度にかかる金額のみ経費として計上できます。
たとえば次の場合、
- 保険金額:30万円(一括払い)
- 契約期間:10年(120か月)
- 支払日:7/1(この年の契約期間は6か月=7月1日〜12月31日)
経費として認められるのは、15,000円(30万円÷120か月×6か月)です。
なお賃貸併用住宅(※2)の場合は、「自宅部分」の保険金は経費として処理できません。
(※2)オーナーが住む「自宅部分」と「賃貸部分」が合わさっている住宅。
⑤<その他>家屋の建築に付随する費用6つ
家屋の建築にかかる費用のうち本体建築費・外構費以外の費用は、次の6つです。
いずれも、建築会社の見積りでは「諸費用」として扱われます。
- 地鎮祭・竣工式=50万円程度
- 地盤調査=5万~30万円
- 測量=35万~45万円
- 建築確認申請=5万~10万円
- ローン保証料=借入額×2%
- 「アパートローン手数料」=3万~5万円
「地鎮祭・竣工式」=50万円程度
- 地鎮祭=工事の安全を祈願する祭事
- 竣工式=建物の完成を祝う式典
の費用は、多めに見積もって合計50万円程度です。
内訳は次のとおり。内容・規模によって金額は変わってきます。
地鎮祭 | 竣工式 | |
---|---|---|
神主への支払い | 3万~10万円 | 10万円程度 |
イベント会社への支払い | 参加者1人あたり1万円 | 参加者1人あたり1万円 |
「地盤調査」=5万~30万円
アパート・マンションを建てるとき、土地の地盤の強度を測定するのが地盤調査です。
費用は、5万~30万円が相場。
調査方法によって、以下のように金額が変わってきます。
調査方法 | 用途 | 費用 |
---|---|---|
スウェーデン式 サウンディング試験 |
一戸建て 2~3階建て |
約5万~6万円 |
ボーリング試験 | 高層マンション・ビル | 約20万~25万円 ※掘る深さによる |
「測量」=35万~45万円
新築物件を建てるときに必要なのが、土地の位置・形・面積などを測定する作業が測量。
費用は面積によって変わってきます。
一般的なアパート・マンションであれば、35万~45万円が相場です。
土地面積 | 費用 |
---|---|
30~100坪 | 35万~45万円 |
100~200坪 | 80万~150万円 |
200坪~1000坪 | 100万~200万円 |
市有地・国有地に面している場合は、1.5~2倍に跳ね上がります。
「建築確認申請」=5万~10万円
アパート・マンションの建築確認申請にかかる費用は5万~10万円が相場です。
建築確認申請とは?これから建築する建物が法令・条例(建築基準法など)に合致しているかどうか、審査を受けること。
- 提出書類:建築確認申請書
- 提出する人:建築主(工事請負業者・設計事務所など)
- 提出先:各市区町村の「建築主事」
「ローン保証料」=借入額×2%
アパートローンを組んだときのローン保証料を一括で支払った場合、全額を経費として計上できます。
金額は金融機関によって違ってきますが、借入額の2%が相場です。
ローン保証料とは?アパートローンを返済できなくなったときの保険金。
アパート・マンションを建築するとき、保証会社と契約を結んで支払う。
ただし分割で支払う(内枠方式)場合、経費にはできません。
「固定金利3%+0.2%」といったように毎月の金利に上乗せする形で支払います。
「アパートローン手数料」=3万~5万円
金融機関によっては、アパートローンを組む時の手数料(アパートローン手数料)がかかることがあります。
金融機関やプランによって変わりますが、3万~5万円が相場です。
【アパート・マンション経営の経費】経費が発生した年に計上するもの3種類
アパート・マンション経営の経費のうち、経費が発生した年に経費として計上するのが次の3種類です。
- <修繕費>
=家屋を「現状維持」するための費用 - <仲介手数料>
=家賃の0.5か月分以下 - その他の費用
①<修繕費>=家屋を「現状維持」するための費用
- 入居者が退去したあとの原状回復
⇒エアコン・給湯器などの設備交換、水まわり(キッチン・バス・トイレ)の修理、ハウスクリーニングなど - 15~20年周期で実施する外壁の塗装
など家屋の「現状維持」のための費用が修繕費です。
上述したように「資本的支出」「修繕費」は混同しやすいので要注意。
■建物管理会社に支払う修繕積立金=毎年の経費として計上できる
次の条件を満たしている場合、建物管理会社に毎月支払う修繕積立金を毎年の経費として計上できます。
(通常は、修繕した年に一括して経費計上します)。
- 「管理組合の規約」に沿って積立金を支払うこと
- 積立金を修繕以外に使わないこと
- 積立金の返還義務(管理会社→オーナー)がないこと
- 積立金が長期的な計画にもとづいた金額であること
以上の条件を満たしているかどうかは、管理組合の規約を見れば確認できます。
②<仲介手数料>=家賃の0.5か月分以下
入居者を募集するときに、不動産会社(仲介会社)に支払うお金が仲介手数料です。
金額は原則家賃の0.5か月分が上限で、入居者との賃貸借契約が成立した時に経費になります
③<その他>の費用9つ
修繕費や仲介手数料以外で、経費が発生した年に計上するのが次の9つです。
- 外注費=税理士・弁護士・司法書士などへの報酬
- 通信費=電話代・郵便代・インターネット通信費など
- 新聞図書費=情報収集のための新聞・書籍・雑誌など
- 接待交際費=飲食費・手土産代など
- 消耗品費=10万円未満の消耗品
- 旅費交通費=電車・バス・タクシー・ガソリン代など
- 公共料金=水道・電気・ガスの料金
- 小規模企業共済の掛け金=”オーナーの退職金”の積立金
- 組合費・町内会費=商工会議所・同業者組合など
「外注費」=税理士・弁護士・司法書士などへの報酬
- 税理士に確定申告作業を依頼した
- 入居者トラブル(滞納など)が起こったとき、弁護士に間に入ってもらった
など専門家へ支払った報酬が「外注費」です。
「通信費」=電話代・郵便代・インターネット通信費など
- 電話代・郵便代
- インターネット通信費
このように管理会社・入居者とのやり取りで発生した費用が「通信費」となります。
私用の携帯電話・パソコンなどを使うときは、利用料金の40%がアパート経営用の経費として認められます。
「新聞図書費」=情報収集のための新聞・書籍・雑誌など
アパート・マンション経営で必要な情報収集費用は「新聞図書費」として扱います。
- 経済動向を知るために、新聞を定期購読している
- 不動産に関連する書籍・雑誌を、書店で購入した
- 不動産会社の主催するセミナーに参加した
経費として認められる幅が広いので、少しでも関連性があるものは領収書を控えておきましょう。
「接待交際費」=飲食費・手土産代など
- 管理会社との打ち合わせのため、飲食店で食事をした
- 税理士事務所に出向とき、手土産を持っていった
などアパート・マンション経営で使った接待・交際の費用が「接待交際費」です。
こちらも「経営・運営に関係がある」と証明できれば、経費計上OKです。
「消耗品費」=10万円未満の消耗品
- 物件情報のチラシをつくるために、カメラ・プリンタ・印刷用紙を購入した
- 確定申告のためにパソコンを買った
など業務上必要な消耗品が「消耗品費」。
ただし上述した通り価格が10万円以上のモノは償却資産費と処理されるので、10万円未満のモノが対象です。
「旅費交通費」=電車・バス・タクシー・ガソリン代など
- 管理会社との打ち合わせに行くため、タクシーを利用した
- 電車に乗って、入居者との顔合わせに行った
などアパート・マンション経営における“移動”に使ったお金は「交通費」となります。
ガソリン代やマイカーで移動した場合の費用や、自動車税・自動車保険なども経費としてOK。
ただしマイカーにかかる費用のうち、アパート経営の経費として認められるのは全体の40%程度です。
「公共料金」=共有部分の電気代・水道代など
- 玄関・廊下・階段・エレベーターの電気代
- エントランスの水道代
など、共有部分の維持費は「公共料金」として処理します。
電気代・水道代ともに、月数千円〜数万円が相場です。
「小規模企業共済の掛け金」=”オーナーの退職金”の積立金
不動産事業を法人化している場合、小規模企業共済の掛け金を全額経費として計上できます(個人事業主の場合、確定申告時に所得から控除できる)。
小規模企業共済とは?独立行政法人「中小企業基盤整備機構」が提供する共済制度。
アパートやマンション経営をやめた時に、積立金に応じた共済金(最大120%)を受け取れる。
組合費・町内会費=商工会議所・同業者組合など
- 商工会議所・同業者組合など組合費
- 町内会費
なども経費として計上できます。
ただし20万円以上の会費は5年償却になるので注意。
20万円未満なら支払った年に全額を経費計上できます。
アパート・マンション経営は「これは経費として計上できないか?」という目で事業を見るべき
- 毎年の経費として計上するもの
- 初年度の経費として計上するもの
- 経費が発生した年に計上するもの
といったように、アパート・マンション経営の費用は多種多様。
細かく分類すると33項目になります。
「こんなものも経費として認められるなんて知らなかった!」と、意外な発見があったはずです。
冒頭で述べたように「所得税・住民税=所得(売上-経費)-各種控除×税率」なので、経費の金額が大きくなれば税額を圧縮できます。
「もしかしたら、これは経費として計上できるのではないか?」という視点でご自分の事業を見て、節税にチャレンジしてみてください。
■「どういった経費が・どれだけ掛かりそうか」もう一度洗い出してみましょう
アパート・マンション経営でかかるお金をできるだけ経費として計上すれば、所得税を圧縮できます。
もう一度このページを見ながら「どういった経費が、どれだけ掛かりそうか」洗い出して、所得税対策を考えましょう。
その際、次のような疑問に答えてくれる会計・税務に強いパートナーを持っておくことをオススメします。
- ○○の費用は減価償却費として処理した方が良いの?
- できるだけ所得を圧縮するにはどうすれば良い?
相談先としては、大手不動産会社や地域密着型の企業と提携しているリビンマッチがオススメです。
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