「宅地造成って何なの?」
「宅地造成はどのくらいの費用がかかるの?」
「宅地造成の業者ってどうやって選べばいいの?」
初めて宅地造成する予定という人は、そもそも気になることが多いですよね。
わからないことだらけだと、不安はふくらむばかりでしょう。
そこで今回は土地・宅地造成について3項目を中心に徹底解説します。
- 土地・宅地造成についての基礎知識
- 土地・宅地造成にかかる費用の相場
- 土地・宅地造成の業者を選ぶ際のポイント
本記事を読めば、宅地造成について全体像がつかめるはずです。
宅地造成の不安を取り除いて、無事に理想の土地を手に入れてください。
自分だけでイチから造成業者を探すのは、ネットを駆使してもかなりキツいですよね。
土地に合った宅地造成の業者を探すなら「解体工事のナコウド」を利用しましょう。
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司法書士
宮下 普正 氏
*所属*
東京司法書士会(会員番号第6758号 認定番号第1501055号)
東京行政書士会(会員番号第11596号)
東京司法書士会総合相談センター相談員
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員
Contents
土地・宅地造成とは?
宅地造成とは宅地でない土地を宅地にしたり、土地の形や性質を変えたりすること。
すでに宅地であっても、土地の形や性質を変える場合は宅地造成に当てはまります。
(また飛行場や鉄道などの用地や国や自治体が管理する学校や運動場も宅地ではない)
住宅地以外には駐車場や資材置き場などが宅地に該当する。
宅地造成における工事内容は以下の通り。
- 伐採・抜根
- 地盤改良
- 盛土(土盛り)& 切土
- 土留め(土止め)
- 整地
これらを経て工事完了した宅地は、造成地や造成宅地と呼ばれます。
伐採・抜根
伐採・抜根とは、樹木を伐採して根などを取り除くための工事。
一般的に伐採は、立木を地面から10cm(目安)のところで切り倒します。
抜根は伐採によってできた、切り株の根本を掘り起こして抜き取ることです。
どちらも重機による作業ですが、細かな部分は手による作業が必要になります。
想像よりも難しく危険な作業になるので、プロに依頼するようにしましょう。
画像:有限会社阿幸電業ホームページ「伐採施工例(抜根)」
地盤改良
地盤改良とは、軟弱な地盤の土地に対して地盤を安定させるための工事。
日本は地盤沈下が起きやすいですが、かといって地盤沈下が起こると元には戻りません。
特に注意しなければならないのが不同沈下(ふどうちんか)です。
不動沈下とは垂直ではなく、ゆがんだり傾いたりしながら地盤が沈下する現象のこと。
このような地盤の弱さが欠陥住宅と呼ばれる住宅のほとんどの原因です。
地盤改良を怠ると造成地に建物を建てても、建築費がムダ金になる可能性があります。
盛土(土盛り)& 切土
盛土とは、道路より低い土地に対して埋め立てで地上げするための工事。
対して切土とは、もともとの地盤を切り崩して平らな土地を作り出す工事です。
一般的に切土よりも、盛土のほうが安定性が低いといわれています。
切土の土地は、災害時でも崩れるリスクが低いです。
しかし盛土は災害に弱く、地すべりを起こす可能性が高くなります。
ただし同じ盛土でも、深く幅の狭い盛土は浅く幅の広い盛土よりは頑丈です。
宅地造成により盛土が多くなるような場合は、上記の事情をよく把握しておきましょう。
画像上:三井のリハウスホームページ「切土【きりど】」
画像下:太田ジオリサーチホームページ「宅地危険箇所マップ」
土留め(土止め)
土留めとは、土盛りした際の土砂の流出や崩壊を防止するための擁壁(ようへき)の工事。
擁壁にはいくつか種類があります。
- RC造擁壁(L型・逆T型擁壁など)
→鉄筋コンクリート造で安定性バツグンな擁壁 - 重力式擁壁
→擁壁自体の重さで土圧を防ぐ擁壁 - 練積み擁壁(間知ブロック擁壁など)
→ブロックや石を積み上げて作る簡易な擁壁
造成しようとする土地に、すでに擁壁が存在する場合もあるでしょう。
しかし上記以外の違法状態の古い擁壁の場合は、解体して新たに作らなければいけません。
また擁壁工事は他の工事に比べて、1㎡あたりの単価が高額なので注意が必要です。
整地
整地とは宅地造成における一工程で、凹凸がある土地を平らにするための工事。
盛土をした後に、地面をならすための工事のことも含みます。
整地と似た用語として更地がありますが、明確な違いがあるので覚えておきましょう。
更地と整地の違い
- 更地
→建物をのぞいてそのままの状態の土地 - 整地
→更地をキレイにして転圧作業を行い平らにした土地
(転圧…ローラーなどの重機で地盤を締め固める作業)
ゴミ・石・樹木・凹凸などがあっても更地と呼べるので、整地とはまったく異なります。
画像:株式会社松浦建築ホームページ「転圧機」
関連記事更地についてもっと詳しく知りたい人は以下の記事をチェックしてみましょう。
土地・宅地造成の仕上げ方
土地・宅地造成の仕上げ方は、主に7つのパターンがあります。
◎土地・宅地造成の仕上げ方7パターン
- 粗仕上げ
→石やコンクリートガラをのぞく・もっともカンタンな仕上げ方
(コンクリートガラ…工事で生じたコンクリートの破片などがれき類のこと) - 砂利整地
→丸い石や砂などを敷き詰める・防草効果がある - 砕石舗装
→砕いた石を均一に敷いて転圧して固める - 真砂土舗装
→真砂土を敷き詰めて転圧する・見た目がキレイに仕上がる
(真砂土…花崗岩が風化してできた土) - 防草シート仕上げ
→特殊なシートで日光をさえぎり雑草が生えるのを防ぐ・見栄えは悪い - アスファルト舗装
→砕石や砂やアスファルトを混ぜた合材を敷きならして転圧する
(コンクリートより安価なのが強みだが昨今はアスファルトの価格が高騰している) - コンクリート舗装
→セメントや砂を混ぜた合材を敷きならして転圧する
それぞれの価格は業者で異なりますが、粗仕上げが最安で下に行くほど高くなります。
土地・宅地造成工事の流れ
宅地造成の工事は大まかに11ステップですすみます。
◎土地・宅地造成工事の流れ11ステップ
- 事前の調査
→土地の利用計画を聞いた上で土地の状況や法律などの確認 - 計画の立案
→行政機関に確認を取りながらプラン作成 - 概算見積書の提出
→大まかな見積もりの提示 - 具体的なプランの提案
→許認可に必要な設計図の作成 - 見積書の提出
→申請中に設計図などをもとにした詳細な見積もりの提示 - 各種申請・許可
→法律や条例に引っかからないことを書面で確認 - 工事請負契約の締結
→設計図や見積書などをもとに業者と契約 - 着工・施工
→行政に着手届の提出・近隣への工事の案内 - 検査
→社内検査や行政の確認検査・依頼主による現地確認 - 竣工・引き渡し
→工事費の清算・引渡書への捺印 - アフターサービス
→不都合なことがあっても相談可能
宅地造成は施工期間は短いですが、許可を取るまで(~⑥)が長いです。
(たとえば500㎡の畑を宅地造成した際の施工期間は7日間というケースがありました)
ただし無理に急がせても手抜き工事をされるおそれがあるので注意してください。
ある程度は時間的余裕を持った上で、宅地造成の相談や申し込みをするようにしましょう。
土地・宅地造成の費用相場
宅地造成の費用は国によって、都道府県ごとの基本料金が決められています。
費用は「平坦地」と「傾斜地」で大きく異なるので理解しておきましょう。
- 平坦地…傾斜度3度以下の土地のこと
- 傾斜地…傾斜度3度超の土地のこと
特に傾斜地の造成は、平坦地よりも手続きや工事が複雑になるため費用が高額です。
平坦地の土地・宅地造成費
平坦地は「整地」「伐採・抜根」「地盤改良」「土盛り」「土留め」を積算した費用です。
工事費目 | 造成区分 | 東京都 | 愛知県 | 大阪府 | 福岡県 |
---|---|---|---|---|---|
整地費 | 整地を必要とする 面積1㎡あたり | 700円 | 600円 | 600円 | 600円 |
伐採・抜根費 | 伐採・抜根を必要とする 面積1㎡あたり | 900円 | 900円 | 900円 | 900円 |
地盤改良費 | 地盤改良を必要とする 面積1㎡あたり | 1,700円 | 1,700円 | 1,700円 | 1,700円 |
土盛費 | 他から土砂を搬入して 土盛りを必要とする 場合の土盛り 体積1㎥あたり | 6,200円 | 6,300円 | 6,000円 | 6,000円 |
土止費 | 土留めを必要とする場合の 擁壁の面積1㎡あたり | 64,900円 | 66,900円 | 64,900円 | 50,600円 |
ここでいう整地は粗仕上げなので、費用はどう仕上げるかで変わります。
また先述した通り、土留めが必要になった場合は費用が高額になる可能性が高いです。
ケース①:東京都にある165㎡の平坦地を宅地造成する場合の費用例
◎東京都にある165㎡(50坪)の平坦地を宅地造成する場合の費用
【土地の三方に擁壁・全体に1mの土盛りが必要な土地】
- 整地費:165㎡×700円=115,500円
(整地を要する面積×1㎡あたりの整地費) - 伐採・抜根費:20㎡×900円=18,000円
(伐採・抜根を要する面積×1㎡あたりの伐採・抜根費) - 地盤改良費:なし
(地盤改良を要する面積×1㎡あたりの地盤改良費) - 土盛費:165㎥×1m×6,200円=102万円3,000円
(土盛りを要する面積×平均の高さ×1㎡あたりの土盛費) - 土止費:37m×64,900円×1m=240万1,300円
(擁壁面の長さ×平均の高さ×1㎡あたりの土止費)
→宅地造成の合計費用は355万7,800円
ケース②:愛知県にある330㎡の平坦地を宅地造成する場合の費用例
◎愛知県にある330㎡(100坪)の平坦地を宅地造成する場合の費用
【土地の三方に擁壁・全体に地盤改良が必要な土地】
- 整地費:330㎡×600円=198,000円
(整地を要する面積×1㎡あたりの整地費) - 伐採・抜根費:50㎡×900円=45,000円
(伐採・抜根を要する面積×1㎡あたりの伐採・抜根費) - 地盤改良費:330㎡×1,700円=561,000円
(地盤改良を要する面積×1㎡あたりの地盤改良費) - 土盛費:なし
(土盛りを要する面積×平均の高さ×1㎡あたりの土盛費) - 土止費:18m×1m×66,900円=120万4,200円
(擁壁面の長さ×平均の高さ×1㎡あたりの土止費)
→宅地造成の合計費用は200万8,200円
傾斜地の土地・宅地造成費
傾斜地は「整地」「地盤改良」「土盛り」「土留め」のすべて含んだ費用です。
「伐採・抜根」は必要になった場合は、平坦地の一覧をもとに費用が加算されます。
傾斜度 | 東京都 | 愛知県 | 大阪府 | 福岡県 |
---|---|---|---|---|
3度超 5度以下 | 17,200円/㎡ | 17,100円/㎡ | 17,100円/㎡ | 15,000円/㎡ |
5度超 10度以下 | 21,200円/㎡ | 21,000円/㎡ | 20,400円/㎡ | 18,000円/㎡ |
10度超 15度以下 | 32,100円/㎡ | 31,700円/㎡ | 31,500円/㎡ | 28,900円/㎡ |
15度超 20度以下 | 45,000円/㎡ | 44,600円/㎡ | 44,600円/㎡ | 39,100円/㎡ |
20度超 25度以下 | 49,900円/㎡ | 49,400円/㎡ | 49,500円/㎡ | 45,000円/㎡ |
25度超 30度以下 | 53,300円/㎡ | 52,200円/㎡ | 54,300円/㎡ | 48,600円/㎡ |
各都道府県の費用はバラつきがありますが、大きな差はありません。
大都市がある都道府県の中でも、福岡県は傾斜地の宅地造成が低めになっています。
ケース①:大阪府にある495㎡の傾斜地を宅地造成する場合の費用例
◎大阪府にある495㎡(150坪)の傾斜地を宅地造成する場合の費用
【傾斜度が8度で伐採・抜根がある程度必要な土地】
- 宅地造成費:495㎡×21,000円=1,039万5,000円
(宅地造成する面積×傾斜度ごとの㎡単価) - 伐採・抜根費:225㎡×900円=202,500円
(伐採・抜根を要する面積×1㎡あたりの伐採・抜根費)
→宅地造成の合計費用は1,059万7,500円
ケース②:福岡県にある660㎡の傾斜地を宅地造成する場合の費用例
◎福岡県にある660㎡(200坪)の傾斜地を宅地造成する場合の費用
【傾斜度が16度で全面的に伐採・抜根が必要な土地】
- 宅地造成費:660㎡×39,100円=2,580万6,000円
(宅地造成する面積×傾斜度ごとの㎡単価) - 伐採・抜根費:660㎡×900円=594,000円
(伐採・抜根を要する面積×1㎡あたりの伐採・抜根費)
→宅地造成の合計費用は2,640万円
参照:財産評価基準書「路線価図・評価倍率表」
(※都道府県を選択して「1. 土地関係」の「宅地造成の金額表」をクリック)
土地・宅地造成を依頼する業者選びのポイント7つ
宅地造成の業者を選ぶ際は、7つのポイントを意識してみましょう。
- 「解体工事のナコウド」を利用して見積もりを比較する
- 似たような案件での実績があるか
- 下請けに丸投げしていないか
- 現地に来て調査してもらえるか
- 近隣とのトラブルをどうやって防ぐかを説明できるか
- マニフェスト伝票のコピーをもらえるか
- 対応する際の口調や態度に問題がないか
「有名だから」「大手だから」といって、きちんと造成してくれるとは限りません。
本当にいい業者と出会うためにも、紹介するポイントを参考にしてみてください。
①「解体工事のナコウド」を利用して見積もりを比較する
宅地造成について自分で、1社ずつ連絡して問い合わせるのはかなりの労力が必要です。
業者を選ぶ際は一括見積もりサービスを利用して、ネット検索の手間を省きましょう。
また少しでも造成費用を抑えたいなら、相見積もりで相場を知ることも重要になります。
(相見積もり…複数の業者に同じ条件で見積もりを出してもらい比較すること)
おすすめの一括見積もりサービスは「解体工事のナコウド」です。
解体工事のナコウドに申し込めば、厳しい審査をクリアした業者とコンタクトを取れます。
宅地造成を成功させるためには、一括見積もり比較サービスの利用が欠かせません。
宅地造成の見積もり比較は3~4社がちょうどいい
解体工事のナコウドを利用すれば、最大4社から現地調査を経た見積もりがもらえます。
しかし以下のような疑問を持つ人もいるかもしれません。
「多くても4社からしか見積もりをもらえないの?ちょっと少なくない?」
ただしこれが5社以上になると、連絡することにわずらわしさを覚えるはずです。
また5社以上の現地調査に対応するのは、骨の折れる作業となるでしょう。
以上の事情から、宅地造成の見積もりを比較するのは最大でも4社が理想といえます。
②似たような案件での実績があるか
宅地造成は土地の場所によっては、極めて高度な技術が必要です。
質の低い造成になったために、建物が欠陥住宅になってしまうケースはよくあるんですね。
賃貸用の住宅であれば、入居者への損害賠償などトラブルのもとにもなってしまいます。
ただし費用が高いからといって、安心というわけではないので要注意。
費用が安いか高いかだけではなく、施工実績も重視するようにしてください。
まずはホームページに施工事例の写真をアップしているか確認してみましょう。
写真がなければよく注意して、過去の実績について問い合わせなければいけません。
画像:有限会社サプライ「造成土木工事 施工事例」
③下請けに丸投げしていないか
依頼したハウスメーカーなどが職人を抱えていないと、下請けへ仕事を丸投げします。
その場合はハウスメーカーに紹介された業者に造成を任せることになるので、造成に関する相談や業者を自分で選ぶことができません。
また中間マージンの額が大きければ、手抜き工事をされる可能性も高くなってしまいます。
大手のハウスメーカーだからといって、全面的に信頼はできないので注意しましょう。
造成業者に直接依頼しないと中間マージンが発生して割高になる
ハウスメーカーや工務店を介して依頼すると、中間マージンが発生してしまいます。
中間マージンとは?中間業者が得る手数料や仲介料などの利益のこと。
たとえばハウスメーカーが下請けの業者に仕事を紹介したことで得る利益。
中間マージンが発生するとその分、造成費用がかさんでしまうので注意してください。
たとえば造成業者に直接依頼すれば費用が80万円だとしますよね。
しかし中間マージンが発生する場合は、費用の総額が100万円になるという感じです。
先に紹介した一括見積もりサービスを利用すれば、中間マージンは発生しません。
一括見積もりサービスの利用料はタダなので、費用は業者に直接支払います。
④現地に来て調査してもらえるか
基本的に宅地造成は、実際の土地を調べずに見積もりを出すことはできません。
事前の現地調査で行うことを確認してみましょう。
◎宅地造成の事前調査
- 地盤や地質の調査
- 土地の測量
- 周辺環境の調査
- 道路の調査
- 近隣施設の調査
- 建設副産物(廃棄物)の調査
上記のようなことをして初めて、大まかな見積もりを出すことができます。
仮に「現地調査せずに見積もりを出す」という業者がいても、依頼はしないでください。
⑤近隣とのトラブルをどうやって防ぐかを説明できるか
宅地造成の工事は、粉塵の飛散や騒音などからクレームやトラブルが起きやすいです。
たとえば相模原市ホームページでは、建築工事においての注意事項が記載されています。
近隣の方からの苦情の多くが「事前の説明がない」ことです。
下記の事項について十分な配慮や対応をお願い致します。
- 工事の概要をあらかじめ説明すること。
- 建築確認があった旨の表示板を設置すること。
- 苦情対応の工事責任者の氏名、連絡先を表示すること。
- 早朝、夜間、休日の工事を避けること。
- 落下物や粉塵等の飛散を防止すること。
- 交通に支障が出る作業は、警察、道路管理者と協議すること。
- 駐車場所を確保し、違法駐車をしないこと。
- その他、安全面や周辺への迷惑防止の配慮を行うこと。
引用:相模原市ホームページ「建築工事に際しての近隣トラブルの防止と配慮のおねがい」
造成は建築ではありませんが、注意すべきことはほとんど同じといえます。
実績の多い業者ならば、トラブルやクレーム対策についてノウハウが豊富なはずです。
(粉塵飛散の対策として養生シート、騒音の対策として防音シートなど・各シートに品質の違いアリ)
まずは近隣に対して、造成工事について事前の説明をしっかり行うのか確認しましょう。
⑥マニフェスト伝票のコピーをもらえるか
あまりに費用が安い業者は、どこかの工程で違法行為を行うおそれがあります。
よくある違法行為が「産業廃棄物の不法投棄」。
産業廃棄物の処理は費用がかかるため、不法投棄で済ます業者が存在するんですね。
特に建物の解体をともなう造成の場合は、廃棄物が多くなるので注意しないといけません。
産業廃棄物はマニフェスト伝票によって管理することが規定されています。
マニフェスト伝票(産業廃棄物管理票)とは?産業廃棄物の情報や処理の流れを記録した書類。
不法投棄を未然に防ぐ目的で廃棄物処理法で定められている。
A票・B1票・B2票・C1票・C2票・D票・E票の7枚つづり。
施主は処理されたことを確認するために、マニフェスト伝票のコピーを請求可能です。
「造成工事が終わったらマニフェスト伝票のコピーをもらえますか?」
上記のような質問をして渋るような業者には、造成を依頼しないようにしましょう。
また偽物のコピーを渡す悪徳業者の例もあるので注意してください。
(不審な点があるなら記入された運搬業者や処理業者などに確認を取るのが有効です)
画像:公益社団法人 京都府産業資源循環協会ホームページ「各種販売について」
廃棄物を造成に使う業者に要注意
処理費用を浮かすために、造成に産業廃棄物を使うケース悪徳業者がいます。
- コンクリートがらを盛土の一部にする
- のり面(斜面)の裏に廃棄物を埋め込む
- 汚泥やアスベスト含有物を土砂に混ぜる
どれもれっきとした不法投棄であり、後々のトラブルのもとなので注意しましょう。
(掘り出して処理する場合は最初から適正に処理した場合よりも高額な費用になります)
業者が造成で何を使うか、施工計画書などでしっかり確認することが大切です。
画像:大阪府 環境農林水産部「産業廃棄物による土地造成の禁止」PDF
⑦対応する際の口調や態度に問題がないか
これまで説明してきたように、宅地造成は高度で繊細な作業。
トラブルとは常に背中合わせなので、事務方や作業員に一定の人間性が求められます。
◎クレームが起きるリスクが低い業者の例
- 対応する際の口調が丁寧
- 対応する際の物腰が柔らかい
- 作業員の身だしなみがしっかりしている
- 作業員が飲食や喫煙のルールを厳守している
マナーが悪い人が造成工事に関わると、近隣に迷惑をかけるのでリスクしかありません。
(特に造成地で土地活用や居住をする場合は施主にとって大きくマイナス)
口調や態度は企業風土のようなもので、造成の相談時に察知できるはずです。
少しでも不安な点を見つけたら、造成工事を依頼するのはやめておきましょう。
土地・宅地造成について7つのQ&A
Q1. 宅地造成工事規制区域って何?
宅地造成工事規制区域とは、宅地造成にともない災害が生じるおそれが大きい地域のこと。
(災害…崖崩れや土砂の流出による災害を指す)
「都道府県知事等」は規制が必要な場合に、宅地造成工事規制区域に指定できます。
都道府県知事等とは?
- 都道府県知事
(②③の場合をのぞく) - 政令市・中核市・特例市においてはそれぞれの長
- 事務処理市町村の長
(事務処理市町村…地方自治法に基づき知事から許可等の権限を移譲された市町村)
宅地造成工事規制区域内で以下いずれかを行う際は、都道府県知事等の許可が必要です。
(1)切土で、高さが2mを超える崖(30度以上の斜面)を生ずる工事
(2)盛土で、高さが1mを超える崖を生ずる工事
(3)切土と盛土を同時に行う時、盛土は1m以下でも切土と合わせて高さが2mを超える崖を生ずる工事
(4)切土、盛土で生じる崖の高さに関係なく、宅地造成面積が500㎡を超える工事
以上のような法規制がついて回るので、造成費や建築費は割高になりやすいんですね。
法規制について十分な知識があるかも、業者選びの指標にすべきといえるでしょう。
参照:国土交通省ホームページ「宅地造成等規制法の概要」
画像:東京都都市整備局「宅地造成工事規制区域」
宅地造成工事規制区域は「不適格擁壁」に注意
不適格擁壁とは、法的な基準に適合していない古い擁壁のことです。
宅地造成工事規制区域の土地所有者は「常に安全な状態を維持する責務」があります。
そのため不適格擁壁があれば建て直しが必要で費用は高額になるので注意しましょう。
(建て直し費用は1,000万円を超えることも珍しくありません)
費用を惜しんで不適格擁壁のままで建物を建てると、崩れた場合に大きな損害になります。
- 新設するための擁壁工事の費用が当初の3~5倍
- 費用捻出のためにローンを組む羽目になった
- 結局ローンを組めずに土地を安く売却することになった
また不適格擁壁の崩壊により近隣に損害を与えた場合は、賠償を求められることも…。
すでに土地を所有している人は、造成前によく相談するようにしてください。
画像:宮澤建設(株)一級建築士事務所「代表的な不適格擁壁の事例」
Q2. 造成宅地防災区域って何?
造成宅地防災区域とは、宅地造成後でも災害のリスクが大きい地域のこと。
先述した宅地造成工事規制区域はのぞく形で、都道府県知事が指定できます。
(ちなみに2019年5月現在、都内では指定されていない)
造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者は、擁壁の設置などが責務になるんですね。
防災工事で安全性が確認された場合は、都道府県知事は指定解除が可能です。
また不動産売買で土地が造成宅地防災区域内にあれば、取引業者には説明義務があります。
Q3. 宅地造成の費用を極力抑えるコツはあるの?
先述した通り、宅地造成の費用は都道府県ごとに相場があらかじめ決められています。
そのため抑えるコツとしては、事前にゴミの処分や除草しておくことが有効です。
ただし抑えるコツよりも意識しておきたいのは、思わぬ追加費用が発生するケース。
しっかり現地調査をしないと、工事の途中で追加の工事が発生することもあります。
また工事の途中で近隣に迷惑をかけて、修繕費用を出すことになったという例も…
相場より安く抑えるコツよりは、相場価格で済ませることを意識すべきといえるでしょう。
宅地造成以外にも付帯工事費がかかる
付帯工事とは、建物以外のすべての工事を指します。
目的によっては、宅地造成以外の付帯工事費もかかることも忘れてはいけません。
- 水道管の引き込み工事
- ガス工事
- 外構工事
- 地盤補強工事
宅地造成だけにとらわれず、予算との兼ね合いを常に頭に入れておいてください。
予算オーバーになり、計画が途中で停滞・頓挫するような事態は避けましょう。
Q4. 田んぼや畑などの農地は宅地造成できるの?
農地は基本的に宅地造成はできず、特に良質な農地ほど厚く保護されています。
転用できるのは第二種農地や第三種農地と呼ばれる、市街地にある農地だけです。
◎宅地造成(転用)できる農地
- 第二種農地(審査に通ったら転用OK)
・鉄道の駅、官公庁、バスターミナル等からおおむね500m以内の農地
・用途地域から500m以内にあり、かつ「10ha以上の集団的農地」から外れている農地
・1種農地にも3種農地にも該当しない農地 - 第三種農地(転用OK)
・上下水道またはガス管のうち2種類以上が前面道路まで埋設されており、かつ500m以内に2つ以上の教育、医療、その他公共施設がある農地
・鉄道の駅、官公庁、インターチェンジなどから300m以内の農地
・街区の面積に占める宅地化率40%以上の区画にある農地
・用途地域内にある農地
上記のように農地でも宅地造成ができる場合はあります。
ただし宅地造成のみや、宅地分譲のための宅地造成は投機防止のため許可されません。
農地の扱いは国政に関わることなので、転用はハードルが高いと覚えておきましょう。
関連記事宅地造成が見込めない農地を所有している人は以下の記事を参考にしましょう。
Q5. 宅地造成は税金に影響があるの?
土地に住宅が建っていて、造成前に解体すると固定資産税がアップすることも…。
具体的には解体した後の更地の固定資産税は、住宅用地の場合の最大6倍です。
固定資産税が決まるのは1月1日時点なので、この時点で更地なら税額は上がってしまいます。
先述した通り、宅地造成は各種申請の許可が下りるまでに時間が必要です。
住宅を新築する場合でも、更地のまま年を越す可能性が高いので把握しておきましょう。
固定資産税についてもっと知りたい人は、関連記事もチェックしてみてください。
関連記事以下の記事では固定資産税についてわかりやすく解説しています。
Q6. 宅地造成の費用は住宅ローンに含められるの?
住宅ローンは土地・建物の費用や、取得に関する諸費用が対象です。
結論を先にいうと、宅地造成の費用は住宅ローンに含むことができます。
ただし先述した通り、造成工事の費用は場所によっては高騰することも…。
また宅地造成費を住宅ローンに含んだ場合、金利が上乗せされることもあります。
安い土地を買ったつもりが、宅地造成費がふくらみ結果的に損する事態は避けましょう。
Q7. 宅地造成の際に地鎮祭を行う必要はあるの?
地鎮祭とは土地をお祓い清めて工事の安全を祈る、工事前に行う儀式のこと。
土地の神を鎮めるためのものなので、宅地造成の工事でも地鎮祭を行います。
絶対やらなければいけないわけではなく、昨今は実施の機会が減少しているようです。
しかし伝統などを重んじていない人でも、実施しておいて損はありません。
- 色んな工事関係者と顔合わせできる
- 実施しなかったときと比べて精神的にラク
- 近隣にしっかりした人だとアピールできる
- 人生の経験になる
(建築業界の人でない限りは一生に一度という人が多い体験なので話のネタになる)
費用は工事規模にもよりますが、総額で10万円はかかると思っておいてください。
施主が用意するものもありますが、ほとんどは造成業者が手配してくれます。
なお地鎮祭にかかる時間は、長くても2時間程度で済むでしょう。
〇神職に支払う初穂料(はつほりょう)…2~5万円
〇神職に支払うお車代…~1万円
〇造成業者に支払う祭壇などの準備費用…1~5万円
〇自分で用意するお供え物の費用…数千円
〇関係者への祝儀…必要ナシ
土地・宅地造成は業者選びが何よりも大切!まずは見積もりの比較から
これまで土地・宅地造成について詳しく解説してきました。
宅地造成費の相場は決まっているので、余計な費用が出ないようにしなければいけません。
そのために重要なのは、数多くの造成業者からいい業者を選ぶことに尽きます。
優良な造成業者と出会うためのポイント7つをおさらいしましょう。
- 「解体工事のナコウド」を利用して見積もりを比較する
→いちいち1社ずつ問い合わせる膨大な手間や時間をカットできる - 似たような案件での実績がある業者を選ぶ
→経験豊富な業者への依頼は追加費用が発生するリスクが低い - 下請けに丸投げしていない業者を選ぶ
→中間マージンの発生や勝手に選別された業者に依頼する事態を防げる - 現地に来て調査してもらえる業者を選ぶ
→そもそも現地調査ができない業者は論外 - 近隣とのトラブルをどうやって防ぐかを説明できる業者を選ぶ
→対策がきちんととれる業者は賠償金が発生するリスクが低い - マニフェスト伝票のコピーをくれる業者を選ぶ
→くれない業者は悪徳業者(不正コピーではないかも要注意) - 対応する際の口調や態度に問題がない業者を選ぶ
→しっかりした業者は近隣からクレームがくるリスクが低い
上記すべて実践すれば、宅地造成を失敗する可能性は限りなく低くなります。
まずは見積もりの比較から始めて、宅地造成の好スタートを切ってください。
申し込みで聞かれること(回答は選択式)
- 「Q.あなたが解体を検討している建物の種類はなんですか?」
- 「Q.物件のエリアは?」
- 「Q.物件の都道府県は?」
- 「Q.物件の階数は?」
- 「Q.物件の構造は?」
- 「Q.延べ床の面積は?」
- 「Q.物件の築年数は?」
- 「Q.処分したい家財は?」
- 「Q.処分したい樹木は?」
- 「Q.井戸は?」
- 「Q.カーポートは?」
- 「Q.浄化槽は?」
- 「Q.駐車場用のコンクリートは?」
- 「Q.ブロック塀の段数は?」
- 「Q.ブロック塀の長さは?」
- 「Q.家の前の道路は?」
- 「Q.お隣の家との距離は?」
- 「Q.解体の予定は?」
- 「Q.解体後の用途は?」
- 「Q.手元に見積もりは?」
- 「Q. 解体の期日を守るために、高額な金額を請求する業者がいることを知っていましたか?」
- 「Q. 業者を見つけるのに時間がかかり、やりたい時期に工事ができなくなるケースが解体工事で増えていることを、知っていましたか?」
- 「Q. 業者選びから工事が終了するまで、1〜1.5ヶ月かかることを知っていましたか?」
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