土地活用について調べてみると、たびたび目にする【利回り】。
今まで不動産関係の投資に縁もゆかりもない人にとっては、聞き慣れない言葉ですよね。
しかしこれから土地の有効活用を考えている方にとって、利回りは最優先に検討すべきものです。
利回りをないがしろにしてしまうと「思った通りに土地から収益を上げられない」ということになりかねません。
そこでこのページでは、
- そもそも利回りって何?
- 利回りの計算ってどうやってするの?
- 土地活用方法ごとの利回りの相場・目安ってどのくらい?
この3つのギモンにお答えする形で、土地活用における利回りについて徹底解説していきます。
Contents
土地活用における「利回り」の正しい見方と注意点
利回りは「どれだけ効率良く初期費用を回収できるか」を見る指標
利回りとは「投資」した金額に対して、1年間でどれくらいの「収入」を得られるかを表す指標で「%(パーセント)」を使って表します。
たとえば利回りが20%なら、1年間で初期費用の20%の収益があげられるということ。
言い換えると5年間で初期費用分の利益があげられます。(※20%×5で100%、初期費用と同じ金額の収益になる。)
利回りを見ると、その事業が「どのくらい効率よく儲けてくれるか」=「投資したお金を何年で回収できるか」が分かります。
【利回りが高い=初期投資の回収スピードが早い】
利回り | 初期投資を回収までの年数 | |
---|---|---|
事業A | 10% | 10年 |
事業B | 20% | 5年 |
利回りが高いからといって、収入が多くなるわけではない
「利回りが高い=稼げる投資」と考えている方は多いと思いますが、実は違います。
上述したように、利回りはあくまでも「初期費用に対する年間収入」の割合。
同じ利回りでも初期費用が少なければ少ないほど、収入も少なくなります。
【利回りが同じ場合、初期費用が少なければ収入も少なくなる】
利回り | 初期費用 | 収入 | |
---|---|---|---|
事業A | 10% | 1,000万円 | 100万円 |
事業B | 10% | 1億円 | 1,000万円 |
利回りには2種類ある~目的に応じて使い分けよう~
利回りの種類は次の2つ。用途が違うので、目的に応じて使い分けてください。
- 表面利回り:大まかな利回りが分かる
⇨計画前、土地活用方法毎の比較で使える数値 - 実質利回り:実態に近い利回りが分かる
⇨計画段階で事業計画をたてる際に使える数値
両方とも単に「利回り」と表現されることが多いので、「表面利回り」なのか「実質利回り」なのかを必ず確認するようにしましょう。
【各利回りを見る上で確認しておきたい用語】
- 初期費用(初期投資):建設費や土地整備費用
- 収入:土地や建物の賃料収入(太陽光発電の場合は売電収入)
- 稼働率:土地や設備がどのくらい実際にどれくらい使われているかの割合
- ランニングコスト:管理費や修繕費、固定資産税など
表面利回り=大まかな利回りが分かる
稼働率100%・ランニングコスト0円として計算するのが表面利回り。
計算が簡単なので大まかな利回りを知りたいときに便利です。
【計算】表面利回り表面利回り(%)=年間収入÷初期投資×100
【例】アパート(5室)の表面利回り
■家賃:50,000円(1室)
■建築費:3,000万円
■利回り:10%
5(室)×50,000(家賃)×12(か月)÷3,000万(建築費)×100=10(%)
アパート・マンション、駐車場、借地など、活用方法によって変わってきますが、表面利回り10%を超えない事業には手を出さない方が賢明です。
実質利回り=実態に近い利回りが分かる
実質利回り(NOI利回り)は、ランニングコスト・稼働率を計算に入れた利回りです。
表面利回りとは違って、以下のような点を考慮します。
■アパート10室のうち、7室しか入居者が入っていない。
■毎年支払う、固定資産税と都市計画税。
■毎月支払う管理費や維持費
実際に事業を経営する時に近い利回りを知ることができる数値です。
※年間収入は「フル稼働時の収入×稼働率」で計算します。
【例】アパート(5室)が4室埋まったときの実質利回り
■家賃:50,000円(1室)
■建築費:3,000万円
■利回り:7.6%
(4(部屋)×50,000(家賃)×12(か月)-10万)÷3,000万×100≒7.6(%)
目安としては実質利回りが5%を下回るようなら、事業には手を出さない方が賢明です。
- 稼働率の分だけ年間収入が少なくなる
- 年間収入からランニングコストが差し引かれる
この2つがあることによって、実質利回りは表面利回りよりも小さくなります。
「思ってたように初期費用を回収できなかった…」という事態を避けるために、土地活用の計画段階では必ず実質利回りを盛り込むようにしてください。
5つの土地活用方法の利回り相場を比較【計算例も紹介】
「利回りが高い土地活用から順に検討したい!」という方のために、代表的な土地活用方法5つの利回りを比較して紹介します。
表面利回り | 実質利回り | |
---|---|---|
駐車場経営 | 30%以上 | 17.5% |
トランクルーム経営 | 20%以上 | 16.7% |
アパマン経営 | マンション:11% アパート:12% | 7.4% |
サービス付き高齢者向け住宅 | 10% | 6% |
太陽光発電 | 10% | 5% |
※ここで紹介しているは「すでに土地を持っている場合の利回り」を紹介しています。土地なしの場合は、利回りが異なります。
表をみればわかるように、利回り最優先で考えるなら駐車場経営やトランクルーム経営を検討してみるべきです。
以下では利回りが高い順に具体的な数値例を紹介していますが、各土地活用方法で相場の利回りを達成するための数値目標だと考えてください。
「初期費用に対して、どのくらいの稼働率、ランニングコストを見込めばいいのか」を確認しましょう。
駐車場経営の利回り【表面利回り30%超、実質利回り17.5%】
駐車場経営は、初期費用が少ない割に高い収入が見込めるのが魅力。
初期費用に100万円使ったとしたら、経費を差し引いても年間で17万5000円の収益を見込めます。
また土地の形や狭さを選ばないので「建物を作るのには物足りない」という土地でも有効活用できます。
(関連記事:【土地活用における駐車場経営】9つのメリット・デメリットから完全解説!)
一例として下記の条件で駐車場経営を始めれば、
- 表面利回り:33.6%
- 実質利回り:17.5%
を達成できます。
+ 条件 +
土地
■面積:200㎡
■駐車可能台数:5台
設備
■道路舗装(整地含む):80万(4,000円/㎡)
■歩道切り下げ工事:40万円
■車止めの設置:5万円
利用者
■賃料:7,000円/月
■稼働率:90%(実質利回り計算時)
管理費
■業者への委託費:賃料の5%
固定資産税
■税率:1.4%
■課税標準額:5万円
※下記ページでは駐車場経営の利回りを「月極駐車場」と「コインパーキング」に分けて詳細に解説しています。
トランクルーム経営の利回り【表面利回り20%超、実質利回り16.7%】
トランクルーム経営は初期費用こそ駐車場経営よりも高くつく傾向があるものの、収入が多い分高い利回りが見込めます。
また需要さえあれば土地を選ばず経営できるので「日当たりの悪い土地」「住宅街やビル街から少し外れた土地」にもピッタリです。
(関連記事:【土地活用】トランクルーム経営で失敗しない!初期費用から利回りまで総まとめ)
一例として下記の条件でトランクルーム経営を始めれば、
- 表面利回り:28%
- 実質利回り:16.7%
を達成できます。
+ 条件 +
土地
■面積:100㎡
コンテナ
■コンテナ数:5個
■貸しスペース:10個
※1つのコンテナを2つのスペースに分けて貸し出す
■設置費用:100万円/1基(整備費用などを含む)
■看板設置費用:20万円
利用者
■利用料金:12,000円(1室)/月
■稼働率:80%
管理費
■業者への委託費:賃料の20%
固定資産税
■税率:1.4%(都市計画税:0.3%)
■課税標準額:30,000円/㎡
アパート・マンション経営の利回り【表面利回り12%、実質利回り7.4%】
土地活用の方法としては王道といっても過言ではないアパマン経営。
賃料収入自体は多いですが、初期費用として多額の建設費がかかるので利回り自体は”中の中”です。
ただ地価や賃料相場が高い土地を持っている人なら、賃料を高く設定できるので相場よりも利回りは改善できるでしょう。
一例として下記の条件でアパマン経営を始めれば、
- 表面利回り:12%
- 実質利回り:7.4%
を達成できます。
+ 条件 +
土地
■面積:200㎡
※小規模宅地(固定資産税:1/6 都市計画税:1/3)
家屋(アパート)
■建築費(取得費用含む):5,000万円
■部屋数:10室
■家賃:50,000円/月
■入居率:80%(実質利回り計算時)
管理費
■業者への委託費:賃料の10%
固定資産税
■土地
税率:1.4%(都市計画税:0.3)
課税標準額:14万円/㎡→200×14万円で2,800万円
■家屋
税率:1.4%(都市計画税:0.3)
課税標準額:建築費×60%=3,000万円
サービス付き高齢者向け住宅の利回り【表面利回り10%、実質利回り6%】
サービス付き高齢者住宅(以下「サ高住」)はお年寄り向けの介護施設の1つ。
こちらも建設費用が高くつくので、利回りとしては少し物足りない数値になっています。
ただ交通の便が悪くて広い土地を持て余している人にとっては、うってつけの土地活用方法です。
一例として以下の条件でサ高住経営を始めれば、
- 表面利回り:10%
- 実質利回り:6%
を達成できます。
+ 条件 +
土地
■面積:1,000㎡
小規模住宅用地(固定資産税:1/6 都市計画税:1/3):200㎡
一般住宅用地(固定資産税:1/3 都市計画税:2/3):800㎡
家屋
■建築費(取得費用含む):3億円
■部屋数:25(1部屋に1人が入居)
■利用料:10万円/月
※家賃+管理費+光熱費+食費+施設サービス料(生活相談・安否確認など)
■入居率:90%
人件費
■生活相談員:500万円
固定資産税
■土地
税率:1.4%(都市計画税:0.3%)
課税標準額:14万円/㎡
■家屋
課税標準額:建築費×60%
太陽光発電の利回り【表面利回り10%、実質利回り5%】
更地に太陽光パネルを設置して、作った電気を売って収益化するのが土地活用における太陽光発電です。
国が電気を買い取ってくれるので、長期的に安定した収入が見込めます。
太陽の光さえあれば、使いみちがないような田舎や山林の土地でも経営できるのも魅力。
ただ売電で得られる収益は少ないので「地道にコツコツ」利益を積み重ねていくイメージです。
(関連記事:野立て太陽光発電(ソーラー)を10つのメリット・デメリットで解説【土地活用のプロ直伝】)
一例として以下の条件で経営を始めれば、
- 表面利回り:10%
- 実質利回り:5%
を達成できます。
+ 条件 +
土地
■面積:400㎡
発電設備(システム容量:30kW)
■太陽光発電パネル(モジュール):375万円(12万5,000円/kW)
■パワーコンディショナー(パワコン):135万円(45,000万円/kW)
■架台:90万円(30,000円/kW)
■その他設備:400万円
<収入・ランニングコスト>
■売電収入:100万円
■運転・維持費:10万円
固定資産税
■土地
税率:1.4%
課税標準額:5万円/㎡
■償却資産:11万2,000円
”安定はするけど収益が物足りない”とされている太陽光発電。
そんな中”安定するうえに利回り11%以上”を達成するオーナーさんもいらっしゃいます。
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利回りについて正しく理解して、土地活用の計画に盛り込みましょう
利回りは土地活用を検討する上で「投資の効率」を判断するための重要な指標です。
- 自分が検討している土地活用の利回り相場はどのくらいか
- 相場利回りを達成するためのコスト・収入はどれくらいを見込めばいいか
この2つをしっかり確認して土地活用を計画すれば、少なくても「フタを開けてみれば採算があわなくなった…」ということにはなりません。
また計画段階で重要になるのは、実際に手元に残るお金を試算できる実質利回りです。
表面利回りは各土地活用方法を比較検討する際の目安として利用するようにしてください。
※利回りが高い土地活用方法の詳細を知りたい人は下記のページを参考にしてください。
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