シェアハウス運営をする上での実際の失敗談
～入居者トラブル対応の心構えも解説～

今回はシェアハウス運営も手掛ける不動産投資家「カワマン」氏にご寄稿いただきました。

テーマは「シェアハウス運営の失敗談」について。

最近では不動産投資の一つの形として、シェアハウスも存在感を強めてきています。

しかし共同生活という形式では、トラブルが付きものです。

• シェアハウス運営の考え方
• 実際に体験した失敗談
• トラブルに対処する心得

などについて、コミカルな文体でご解説いただきました。

人は失敗から学ぶもの。

なかなか聞けない失敗談をこの機会に聞いてみましょう。

シェアハウス運営において起きる問題のほとんどが

1. 入居者同士の人間関係
2. 設備の故障
3. 近隣からの苦情やもめごと

の3つのどれかになります。

今回はその中で

1. 入居者同士の人間関係

の対処法について説明します。

コンセプトのあるシェアハウスの場合は

• 住人の接し方
• 運営のやり方
• ルール

もそのコンセプトによって違ったものになるでしょう。

今回は通常のシェアハウスや女性専用シェアハウスなど、住人に統一性を持たずに募集するタイプのシェアハウスについて書いていきます。

シェアハウス管理の考え方

シェアハウスの管理はそこまで大変じゃない

よくシェアハウスを持っていない他の大家さんには「シェアハウスの自主管理ってめちゃ大変なんでしょ？」と言われます。

しかしポイントを押さえてしまえば、そんなに大変なことはありません。

実際にシェアハウスに行くのも内見の際くらいで、満室であれば基本的に行くことはないです。

最近は退去立ち合いも鍵を置いてもらって後日にしますし、入居者からの連絡もほとんどありません。

実際に連絡をしてくるのは大抵決まった入居者で、そこの対応をしっかりしていればいいだけです。

共同生活に多少のストレスはつきもの

人間関係についてですが、違う文化・考え方・育ち方をしてきた人が同じ屋根の下に共同生活する以上は多少すれ違いやストレスは生じます。

内見等の際にもそれは説明もしますが

• 〇〇号室の〇〇さんの夜の電話がうるさい
• ドアの開け閉めの音が気になる

等、それでも我慢できないときに苦情になったり退去につながったりします。

ではこういうときにどう対応するかというと「話を聞いてあげて、対応はしない」が自分の中では正解です。

こう言って通知しなくてもいいと思います。

向こうは言いたいことがあって、それに対応してくれたという結果が欲しいんです。

こちら側は実際に一緒に住んでいないので

• 本当に隣人がうるさいのか
• 連絡してきた人が過剰に気にしているのか

はわかりません。

なので言われたままに「あなたがうるさいという声があるので静かにしてください」と言うのが正解とは限らないもの。

その際の判断の目安としては、複数人から同じ意見が来るかどうかです。

この場合は言われている人が本当に問題がある可能性が高いので、怒らせない程度に注意を促します。

仲良くしてもらうのがもちろんベストではあるんですが実際こっちでコントロールするのは無理ですし、余計に入り込みすぎてこじれてしまうのも嫌ですしね。

入居者同士での解決がベスト

「それで問題にならないんですか？」と思ったそこのあなた、大丈夫です。

もし何度か言われても

「あ、こいつ言ってもやってくれないんだ…。」

と向こうが思ってくれればそれはそれでOKです。

自分で解決するしかないので、勝手に変わって動いてくれるようになります。

叫び声がするとか明らかな迷惑行為は注意を促したりしますが、それ以外は文化や考えの違いです。

「それで退去になったらどうする？」という疑問については、まわりに迷惑をかけて他の普通の入居者が退去してしまうくらいなら問題のある人に出てもらったほうが健全です。

問題のある入居者への対応例

では問題のある人にいくら言っても解決しないとき、どうすればいいでしょうか？

ここで実例をあげて、僕がシェアハウス2人目の入居者で見事に大失敗して結局退去してもらったエピソードを紹介します。

手違いで条件に合わない人が入居

あるポータルサイトから内見希望の申し込みがあった。

なにやら

• アメリカに7～8年間仕事で行っていた
• 1年以上の予定で住みたい
• 常々清潔を心掛けている非喫煙者の日本人

とあった。

うんうん、ええやないかい。

よっしゃ、順調に決めて早く満室にするぞ～！！
(このときオープン直後でまだ空室が複数あった。)

内見当日。

なかなか来ないな、と思っていると「こんにちは、カワマンさんですか？」

そこにはどう見ても60代以上の女性が…。

言えねー！！！！

さすがにそんなこと言えない！！

けど確か募集ページに40代以下って書いてたはずなんだけど…。

もしかしたら見落としかもしんないからサイト見直してみよう。

喋って物件まで歩く間に携帯をポチポチして、自分の物件のページを確認しました。

！？！？

どこにも年齢制限が書いてねー！！！！

そのポータルサイトだけ年齢制限が入っていませんでした、そりゃ仕方ない。

案内だけしよう、社内審査でダメだったことにしよう、と思い物件に向かう。

なんでシェアハウスなのか聞いてみると、都内にある自宅(豪邸)を他の人に貸しているために今回の急遽(？)の帰国で追い出すわけにいけないのでとのこと。

と、さっきまで適当に断ろうと思ってたのに心の声とは裏腹に、営業本能が出て血迷ってノリノリにさせてしまいあれよあれよと入居まで事がはこんでしまいました。

初日からトラブルの片鱗が見える

すると、初日に恐ろしいメールが届きます。

• 契約書に関しての質問が６か所
• 電子レンジの汚れに関しての質問
• 駐車場に関しての注意
• 同居人に対しての嫌悪感と文句

それぞれ一項目につき約300文字程度でつづられているではありませんか！！

マジかと思いながら質問一つ一つに丁寧に返信をしていきました…。

1時間以上かかりました（泣）

ほっと一安心したところで、翌日の朝、メールボックスをチェックしているとなんと！

また長文が届いているではありませんか！！

内容は、

というもの。

内見のときに言ったやんけ…とは思いましたがこの時はシェアハウスで絶対に必要なものがわかっていませんでした。

やっぱりあったほうがいいか、用意するかと手配することを前向きに検討しますと返しました。

5分後に、

いや待て、落ち着けおれ。

冷静になってすぐに手配をしました。

もうこの時点でとんでもない地雷だというのは確信して大後悔。

さらに事件は続きます。

他の入居者ともトラブルを起こす

この方は何時に寝てるのか知らないけど、他室の電気が消えているという理由から玄関鍵を施錠してチェーンをかけたそうです。
(このシェアハウスはメインの鍵はダイヤル式のものをつけており、鍵式のカギは自分しか管理してないので開けておくように伝えてあります。)

当然、他の部屋の人が自宅に帰ってきたら入れません。

その方は外からピンポン押しまくって開けてもらったそうです。

僕のとこにも夜中にやたら着信がきてました…。

とおばあさんに伝えると

• この辺は空き巣や痴漢を注意喚起する張り紙が貼られていたり物騒
• 以前に住んでいた米国の家も二重ロックが当たり前
• 防犯設備は所有者もしくは管理者の仕事だが不十分なので管理者の怠慢
• そもそも夜中に出歩くほうが悪い

とのこと。

…そんなもん知るかぼけーー！！！！！

だったらそれなりの家賃の家に住め！！！そしたらオートロックでも防犯カメラでもついとるわ！！！！

4万円以下の家賃で二重ロックだぁ？？　そんなもんつけれるかー！！！大体内見案内の時に防犯設備とかそんなもんは案内しとるやんけー！！！！あとからごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃ×99999999言いやがってあああーーーあーああーあー！！！！！！！！！

(*´Д`)ﾊｧﾊｧ

と言いそうになったのを我慢し、新しい内見希望者の方を現地に案内する日が来ました。

入居希望者にも悪影響

僕は願ってます。

神よ…頼む。

神でもピッコロでもデンデでもいい、頼むー！

出かけていてくれ～…。

ドキドキ…。

物件に到着し、駐輪場を見る。

よっしゃ！！買い物カートがない！！

このカートがないではないか！よっしゃ！

てことはカート押してどっかに出かけてる可能性大！！

ありがとうデンデ！！

ウキウキ気分で入室し、共用部分の説明をしていると何やら騒々しい音がする。

共用部の説明を終え、部屋に案内すると

なんと大音量のテレビ音と、人の声(独り言？？)が聞こえるではないか！

ひぃぃぃぃぃ！！！！いた！！いらっしゃった！！

おお神よあなたはどこまで私に試練を与えたもう！！

その部屋は一番手前の部屋なので、スルーは許されない。

入居希望者の表情は明らかにこわばっている…。

見てしまったか…ドアノブにかけられているお守りみたいなやつを…。

こんな感じの魔除けみたいなやつがドアノブには引っかかっていました。

おぉ…なるほどデンデは魔族。

神といえどもこの力に逆らえず退散したわけか。

俺の願いを聞いてくれなかったのはこのためか…無念。

（※出典：鳥山明『ドラゴンボール』23巻、集英社）

半泣きで部屋を案内していると、なんと神の魔除けを打ち破ってばあさんが出てこられたではないか！

なんでござんしょ！！！

すると、先日モメた食器洗浄の件のこと(また別の事件ですが今回割愛します)をなんか呪文のように言っていらっしゃる。

ひぃぃ！！お助けを！！

耳をふさぐ私の横で、入居希望者はそれを聞いている。

完全に試合終了でした。

その後届いた入居希望者さんからのお返事が次の通りです。

なるほど、ぐうの音も出ん。

これほどまでの正論がかつてこの国に存在しただろうか。

全米が泣くほどの正論。

数多の文句や奇行のほかに、入居希望者も蹴散らす威力！！

それでいて他の入居者のことを、

とかいう始末。

おめーーーーだよ！！！足引っ張ってんのは！！

すみません、取り乱しました。

さらに同じ週、入居者Aさんが皿を洗ってしばらく水切り置き場に放置していたのが気に入らなかったらしく(と言っても半日くらい)、

とか言い始めました。

と説明したところ、

と言い始めました。

邪魔にならなければ問題ないなら炊飯器一個置いてあってどれほどあんたに迷惑かかってんだよ！！

そんな具合に本当に自分の主張はガッツリしてくるのに自分はルール違反も関係なく、なにかあれば

退去は意外とあっさり

何とかこの人とうまくやろうって気持ちがミジンコくらい残ってたのが完全にゼロ、いやマイナスになり何とかして退去してもらう方向に頭が切り替わってました。

早くしないと今後の案内でもまた同じことになるし、下手したら今入ってる人も出ていってこの人に文句言われながら戸建てを一軒3万円ちょいで貸してるだけになってしまう！！

それだけはあってはならん！！ということで退去の運びに入る計画をします。

したがってもらえないなら退去してくれという趣旨の連絡をしましたところ、次の返事が。

え？いいの！？！？

いらないいらない！短期違約金もいらないし、退去通知期限内でも出てもらって構わない。

なんなら今月分の家賃もいらないから、〇日以内に出ていく日にちを1か月以内に定めて決めてください～！

と伝えるとなんとあっさりOKが！！

てっきり、短期違約も家賃も払わない上に賠償金まで戦うつもりかとおびえてました。

そして僕はすぐに退去予告通知書をもって現地に行ってばあさんに渡し、その後は一日置きに次の転居先の進展状況を連絡して3日に一回は現地に行って話し合いをしまして翌月に退去となりました。

めでたし！

トラブルには意思を強く持って対応

この問題でのミスは

• まず募集している条件よりかなり年齢の高い人を入れてしまった
• 向こうからくる連絡にいちいちまともに対応してしまった
• 周りの入居者に通知してしまった

といったことです。

これらのことをすると全部が悪循環になっていきます。

また退去を促すときは連絡して、難しければしつこく訪問して話し合いましょう。

可能なら〇月〇日までに退去しますという念書を書いてもらうことをすすめます。

向こうに「あ、こいつ本気だ。狂気染みてる。無理だ」と思わせれば勝ちです。

変な入居者は一定数いますので、引いてしまった場合は根性が必要ですが共に頑張りましょう！！