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東京の地価・物件価格変動


株式会社ウィンドゲート 尾嵜豪氏寄稿記事トップ画像

エリア別でみる「東京の不動産市場」
~都内と郊外の地価・物件価格を予想~

今回は、東京都心の不動産事情に精通する株式会社ウィンドゲート代表「尾嵜 豪」氏に寄稿いただきました。

テーマは「東京における不動産市場の動き」です。

2020年に東京オリンピックを控え、その前後で東京都内の不動産は大きく変化することが予想されています。

既に不動産業界ではオリンピック後に不動産価格が下がると噂されていますが、先行きは不透明です。

  • 今後不動産の価格は下落するのか
  • 都心エリアの不動産事情は?
  • 地価はどうなる?
  • 今後どんな物件が東京で生き残るのか

など、今後の動向を大胆予測。

現在進行形で変化する東京の不動産の未来を読み取りましょう

【寄稿者プロフィール】

おざき   たけし
尾嵜 豪 
株式会社ウィンドゲート代表取締役 

明治大学政治経済学部卒業。
大手ゼネコンでの勤務・経験を経て、業界最大手の芸能事務所にて不動産売買・賃貸・管理・コンサルティングの総責任者としてすべてを取り仕切る。
独立後、株式会社ウィンドゲートを設立し、代表取締役に就任。
都心の一流不動産のアドバイザーとして、芸能人・プロスポーツ選手・企業経営者などの富裕層や投資家を主な対象とする不動産投資コンサルティングが好評を博している。 

HP:https://windgate.co.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/Zaki.windgate

今後東京における不動産価格が下がるのか?

いよいよ東京オリンピックの観戦チケット販売も始まり、開催までカウントダウンといった雰囲気になってきました。

熱い夏の祭典が今から楽しみで仕方ないですね。

さて、不動産に関わる人達の間から「不動産価格はオリンピック後に下がる」という意見が多いですが本当にそうでしょうか?

都心の不動産価格の上昇は2017-2018年で頭打ち

不動産価格は株価などの金融市場と似た動きをします。

株価が将来の変動を価格に織り込んでいるものですが、同様に不動産価格も将来の変動を加味して価格が設定されているのでしょうか。

これは、半分正解で半分外れといったところです。

海外からのインバウンド投資家の動きを見ると、すでに価格が織り込まれているという部分に説得力が出てきます。

CBRE(※)などのデータによれば、前年比インバンド投資は2018年時点で約60%減となっています。
(※CBRE:世界最大の事業用不動産サービス会社)

即ちグローバルな観点で見ていくと、都心を中心とした不動産価格の右肩上がりは2017年から2018年で止まっているといえるでしょう。

日本の不動産価格の上昇は期待薄

日本の不動産は低金利なうえに中国や米国、英国などに比べ不動産価格は高くありません。

しかし、経済が成長している諸外国(東南アジアや東ヨーロッパ、中東など)と比較した場合、今後の価格上昇の伸びはあまり期待できません。

さらに日本は

  • 世界的にも台風や地震など災害が多い
  • 海外の個人や法人に対してローン付けが厳しい
  • 外国人が不動産を購入する場合の手続きが面倒

などの理由で、日本の不動産に対する海外の富裕層からの人気が低下してしまっています

居住用中古マンションの価格は上昇

今賑わいを見せているのが中古マンション市場、特に実際に住居として利用するための物件です。

  • 新築マンションの供給減
  • (日銀の超低金利政策で)各銀行が住宅ローンに注力
  • 一棟物の投資物件に対して銀行が融資を渋っている

などの要因で、立地の良い中古物件は購入時より価格が上昇しているケースが増えています。

新築物件の売り出し価格は現状維持

居住用中古マンションの価格が上昇しているのに対し、新築マンションの価格は停滞。

数値データでは、2018年以降新築物件の平均売り出し価格は下がっておらず、現状維持となっております。

新築マンションの供給戸数が明らかに減ったことで価格が維持できたという側面があります。

都内各エリアの地価動向(2019~2020年)

湾岸エリア

タワーマンションを中心に国内外の富裕層によって売買されてきたために、地価は非常に好調な推移を見せました。

しかし、オリンピック後の選手村跡地に大型マンション(※)が大量に建設されています。
※HARUMI FLAGなど。

これに伴って全体的な地価の価格感は下がるでしょう。

また2019年の台風19号による武蔵小杉の浸水被害などでタワーマンションに対する信用度が低下。

このエリアの人気にも影響を与えると思われます。

東京~高輪ゲートウェイ

  1. 高輪ゲートウェイの新駅開業(2020年)
  2. 巨大ビルが竣工する予定の東京駅八重洲界隈の再開発(2022年から)
  3. 浜松町の世界貿易センタービル跡地周辺の再開発(2027年完成予定)

など、大規模開発が目白押しです。

既に開発が進んでいる丸の内・大手町と一体となった首都の顔が一層華やかになっていきます。

このエリアはオリンピックの影響をあまり受けずに、さらに地価が上昇していくと考えられます。

渋谷・新宿

渋谷

渋谷は東横線・副都心線の相互乗り入れ以降、再開発がさらに進んでいます。

以下の再開発が2027年迄に終了予定です。

【渋谷再開発に際する建築物一覧(2027年迄に完了予定)】

・渋谷スクランブルスクエア
・渋谷ストリーム
・渋谷ブリッジ
・渋谷ソラスタ(旧:南平台プロジェクト)
・渋谷川遊歩道
・渋谷ヒカリエ
・渋谷PARCO建て替え
・渋谷フクラス
・渋谷駅桜丘口地区

(2019年12月時点。※すでに完成のものも含む。)

ITやエンターテイメント企業を中心に多くのオフィスが集まり、職住近接を希望する社員も増えさらなる地価上昇が予想されています

新宿

新宿は渋谷ほどのインパクトはないものの

  • バスタ新宿、新宿ミライナタワーが誕生
  • 西口のツインタワーマンション計画
  • 新宿駅の回遊性を高めるグランドターミナル計画
  • 歌舞伎町ミラノ座跡地の再開発

など新たな話題が喚起され、地価を支える一因となるでしょう。

六本木

虎ノ門・麻布台プロジェクトという六本木ヒルズを超える大きさの新しい建物が2023年に竣工予定です。

また、虎ノ門ヒルズやアークヒルズに非常に近いエリアに最新のテクノロジーに対応した建物が出現します。

六本木・麻布エリアは商業地域と高級住宅地域が隣接する富裕層を中心としたエリアです。

さらなる発展が予想されることから、高い地価を維持していくと思われます。

多摩

多摩エリアは、ここ数年ほとんど地価が横ばい~微増になっています。

他のエリアは上昇を示している所が多いことから、ここ最近はあまり人気がないエリアといえるかもしれません。

多摩ニュータウンなど、都心からのアクセスがあまり良くないところが敬遠されているのでしょう。

さらに老朽化が見えた大型団地は建て替え時期を迎えています。

しかし、建て替えに関して住民の4/5の同意を得る難しさ等から、解決策が見出せない状況です。

そのため、しばらく地価が大きく改善されることはないという見解が多くなっています。

人口減が予想されるエリアでもあり、地価はなだらかに低下していくと思われます。

水害リスクが低い

このエリアのメリットは武蔵野台地というやや高台にあるということです。

それはすなわち水害の危険性が少ないことを意味します。

東京東部のゼロメートル地帯は、台風などの集中豪雨による浸水の危険性が西部に比べて高いと言わざるを得ません。

とはいえ西部でも河川の近くや窪地などハザードマップをよく見る必要はあります。

足立・江戸川・台東区

足立・江戸川・台東区は地価の面でいま非常に注目されています

都心から近いにも関わらず昔から長く住む人が多い下町エリアのため、売買が活発でなく地価があまり上昇していませんでした。

しかし昨今のオリンピック前の地価高騰で割安感が出たことで、非常に人気のエリアとなってきています。

地価が高騰していなかった分、今後も安定した地価が予想されます

災害リスクは他地域より少々高い

ただし、先ほども話しましたが防災面がネックとなっています。

  • 荒川や江戸川の氾濫
  • 木造住宅が密集

といった、台風での被害リスクが他地域より高いという点です。

そのため、今後さらに増えると予想されます風水害に注意が必要です。

世田谷・杉並

多くの鉄道が走り人口の多いエリアで、山手線外では比較的収入の多い世帯が居住するエリアです。

長らく底堅い人気があったのですが、都心エリアでの住宅供給数が増えたこともあり地価の上昇が他エリアに比べて緩やかになっています。

河川の近くを除いて比較的風水害の影響を受けにくいエリアでもあり、その価値が見直され始めています。

2019年以降の郊外の物件価格と地価変動

郊外の物件価格は下降

2019年以降、立地が良くないとされる郊外の物件などは

  • 人口の減少
  • 一定の収入がある層による都心回帰

といった理由で価格が横ばいまたは下降しはじめています

郊外の駅徒歩10分以上の土地付き一戸建てなどは、購入時の価格の30%程度にまで下がっているケースも少なくありません。

今後も回復の見通しは低く、なだらかに下がり続けていくと思われます。

地価は都心・郊外で2極化が進む

オリンピック後は

  • 人口の減少が少ない、もしくは横ばいと予想されている東京23区内
  • 再開発エリアまで交通の便が良いエリア

などは、オリンピック後の地価の変動といった影響をあまり受けないと考えられます。

しかしちょっとした郊外(多摩エリア、埼玉、神奈川、千葉)は、オリンピック後なだらかに地価が下がると考えられます。

今後はオリンピックだけでなく、世界経済の情勢や風水害によって大きく不動産の価値が変わっていく時代になっていきます。

より2極化していく地価の動向を見極める必要があります。

 都心へのアクセスと住環境を重視すべし

2020東京オリンピック後、東京の不動産は

  1. 都心に近い、もしくはアクセスが良い
  2. 住環境が良い

といった物件が物件価値を高めていくでしょう。

一方で駅から遠く不便な路線の物件の価値は下がってくる見込みです。

さらに地方都市の中でも、特色を出せない都市の物件は価値がゼロに近くなっていくと思われます。

きちんと情報収集をし、信頼できる不動産コンサルタントに相談することが大切になっていくでしょう。

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-不動産コラム・取材