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実録!大家が体験した大変だった出来事と対処法(大野靖弘氏) | トチカム
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不動産大家の体験談

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実録!不動産大家が体験した出来事とその対処法

今回の記事では、不動産実業家として大家業だけでなくセミナーでもご講演されている「大野 靖弘」氏にご寄稿いただきました。

テーマは「実際に大家が体験した出来事とその対処法」です。

賃貸物件には様々な方が入居されますし、そこで生活をしているとなれば様々なことが起こり得ます。

本記事でご紹介いただいた事例は「ご入居者様の死」についてです。

  • 事件が起きた時点(発覚するまで)
  • 管理会社との連携・対応
  • 原状回復から新入居者の募集・決定

まで、詳しくお話いただきました。

これを機会にリスクに怯えるのではなく、対処法を学んでぜひ真正面から向き合ってみましょう。

大家としてやりがいと温かみのある賃貸経営を応援しています。

【寄稿者プロフィール】

おおの やすひろ
大野 靖弘

不動産実業家

2011年会社勤めの傍ら手取17万円で大家業開始。
複数アパート取得後2017年独立。
これまで27棟約100室購入し その後いくつか売却。
現在72室所有。
不動産への恩返しの思いから、現在はこれから始めたい人へ向けた セミナー講演や主催、ミーティング開催、YouTube等で発信中。

Twitter:@yassann_blog
ブログ:https://plaza.rakuten.co.jp/30saiooya/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCQRmYg5-eb8y-Gu0ExEPQVA

不動産大家とトラブルリスク

大家業にトラブルは付き物

既に大家業をされている方/一般の方で不動産投資に興味がある方の中にも、所有物件で

  • 火事が起きたらどうしよう
  • 地震が起きたら…
  • 人が亡くなったら…
  • 滞納者トラブルで裁判になったら…

など、不安を抱かれたことがあるのではないでしょうか。

これらは一般的に大家業で思い浮かぶ不安要素です。

しかし同時に、これらは私がこれまで8年間の大家歴の中で実際に経験した事でもあります。

驚かれるかもしれませんが、何もこれは私だけが特別という事ではありません。

ある程度の規模と経験年数を重ねれば、どの様な大家の方でもいずれは大なり小なり経験される事だと思っています。

大家業は建物と入居者様の生活を預かる責任のある事業です。

そうである以上、これらの出来事と正面から向き合って対応していく必要があります。

「正しい知識+専門家の力」でリスクに備える

冒頭からあまり耳障りの良い話では無かったかもしれませんが、何もネガティブに考える必要はありません。

また、これから大家業を始めたい方もしり込みする必要もありません。

どのような事業においても、その事業特有のリスクは付き物です。

大家業もこれら特有のリスクを受け、適正に対処していく事になります。

ですので、くれぐれも必要以上に不安に感じたり、ネガティブに捉えないで下さい。

大切なのは

  1. 継続的に自分自身で正しい知識を身に付けようとする姿勢
  2. 何かあった時に頼れる専門家がいること

です。

この大家業においては、既にありとあらゆるリスクやその対処方法が世に出尽くしています。

またそれら専門家の方々も大勢いらっしゃいます。

今回を機会にそれらリスクに対して今一度向き合い、一緒に学んでいきましょう。

実例「入居者様の死」-事件発生から原状回復まで

今回のお話は先程の私自身が経験した事例の中から「入居者様の死」についてお話ししたいと思います。

事件発生時と管理会社との連携

大家になってちょうど6年程が経った頃でした。

実は事件があったのは、以前から売却する方向で話を進めていた物件。

売却の広告掲載から数カ月後にようやく購入希望者さんが現れ、契約の内容を調整しているところでもありました。

そんなある時、管理会社さんから一本の電話。

管理会社:
「大野さん!〇〇ハイツの入居者さんですが、
今月の入金が無く連絡が取れなかったため
現地に向かい室内に入った所、中でお亡くなりになっていました。」

それを聞いて一瞬頭が真っ白に…。

まさか自分の物件でこの様な出来事が起こるとは思ってもいませんでしたので、動揺を隠す事が出来ませんでした。

当時の私は対処方法も理解しておらず、不安と焦りが募るばかりでした。

管理会社さんからは、まずは警察の方が詳しい状況を調べているので報告を待つしかないという事で

  • それらの現地対応をして頂く
  • 他の入居者さんや近隣住民へのフォロー

の2つを私から管理会社さんへお願いしました。

購入希望者にご事情を説明する

それから数日後に管理会社さんから連絡がありました。

警察で調べた結果、事件事故の可能性が低い事から、原因不明の死(=“無因死(むいんし)”)という結果に。

それ以上の調査は行われないとの事でした。

ひとまず事件や事故では無く多少の安堵感はあったものの、入居者さんの事を考えるといたたまれない気持ちになりました。

それも、入居者様が室内でお亡くなりになっていたであろう時期は、ちょうど私が物件の外回りの草むしりに行っていた時期と同じタイミングでした。

「その時に何か異変に気付く事が出来ていたら、状況も違っていたのでは…」と思うと、より心境は複雑でした。

入居者様には心よりご冥福をお祈り致します。

その後の事後処理の対応は管理会社さんと一緒に行っていく事になります。

この物件を売買する事になっていた為、購入希望者様に対して「この状況では物件を引き渡す事が出来ない」旨をご説明。

ご了承頂き、全ての処理が終わるまで売買の話は一旦ストップさせて頂きました。

部屋の現状回復工事をする

こちらは連帯保証人様と連絡が付き

  1. 契約の解除や残置物の撤去
  2. 原状回復のリフォーム

に関してご協力頂く事が出来ました。

部屋自体の損傷はあまり無かったのですが、それでも合計20万円ほどかかりました。

【実際に行った作業・リフォーム】

  • 消臭作業
  • 全ての壁・天井のクロス・床のクッションフロアの張り替え

こちらも連帯保証人様が多くをご負担いただき、原状回復をする事が出来ました。

起こった出来事で他の入居者様への影響も異なる

それと同時に、他の入居者様への影響も心配されます。

退去になるのではと心配しましたが、今回の事が原因での退去は一戸もありませんでした。

今回は事故物件ではなかったこともありますが、他の入居者様への影響は起こった出来事の内容にもよると思われます。

その後、部屋自体の原状回復工事も終わり綺麗になりました。

原状回復後から入居付け-募集・家賃設定・保険補償

入居者募集時に告知するか検討・決定

原状回復が完了した後は、この部屋の入居者募集を行います。

私自身はこの様な状況での募集は初めてだったので、管理会社さんと条件等を相談して決めていく事にしました。

まず初めに募集するにあたり、今回の一連の出来事を告知するか否かについて検討する必要があります。

事件事故では無かったものの、借りる方の立場で考えるれば重要な告知事項。

当然伝えて欲しいと思うはずです。

その点に関しては「この事実はきちんと伝えて募集をするべき」と管理会社さんとの思いは同じでした。

告知義務が無くても借主目線で検討!事件事故では当然告知事項にあたりますが、今回の様な自然死のような場合は明確な決まりが無いようです。

しかし告知しなかった際の入居後のトラブルや次の入居者の事を考えると、やはり家主としてきちんと伝える必要があると思います。

管理会社と相談しながら家賃・値段交渉

次に家賃設定に関して、私自身は経験も無かったので大幅な減額も想定していました。

しかし今回の場合、管理会社さんの見解によれば“1,000円だけ下げての募集で良い”とのこと。

その程度の減額で済むものなのかと心配したのも事実ですが、そこはアドバイスに従い募集をお願いする事にしました。

そして一通りの事後処理が終わり、ようやく次の募集活動を再開。

その段階で再度、以前物件売却の話を進めていた購入希望者さんに購入意思を確認しました。

そこでの回答は「物件価格の値引き要求」。

買主様の心情を考えると当然の要求です。

ただその値引き額に関してこちらの考えと開きがあった事から、検討の結果、売却の話しは破談。

再度一般に売却募集をする事となりました。

保険の補償内容を確認する

ちなみにこの一連の流れの中で、保険代理店の担当者さんへ今回の出来事を報告。

保険の補償内容に該当するところはないか確認をしていました。

私が当時この物件で加入していた保険は以下の内容です。

【加入していた保険各種 一覧】
  1. 火災保険
  2. 地震保険
  3. (特約)
  4. 建物賠償責任
  5. 電気的機械的事故
  6. 風・ひょう・雪災の定額免責設定
  7. 水濡れ原因調査費用
  8. その他

確認した結果、今回の様な「入居者様の死亡に関して掛かった費用」や「機会損失費用」などは保証されていないとの事でした。

今回はたまたま連帯保証人様と連絡が付き、事後対応も協力して頂けたので費用の面では大きな負担をせずに済みました。

もし連絡がつかなかった場合や家賃保証会社を通していたとしても

  • どこまで対応頂けるのか
  • 事件事故だった場合の他の入居者様への影響

などを考えると、多くのリスクが潜んでいる事を実感しました。

今回のケースで有効な保険は「家賃保証保険」

その事を踏まえ保険の担当者さんに相談した所、「家賃保証保険」を紹介されました。

今回のような事故が起こった場合に、その物件全体の家賃に対し最大6カ月間まで家賃が補償されるというものです。

今回のケースでもし全世帯で被害があった場合、最大180万円(※)の損害保険金を最大で受け取れる事になります。
※1棟全体の月額家賃30万円×約定復旧期間6カ月の計算。

さらに

  • 修理費用保険金300万円
  • 臨時費用保険金の50万円

を特約として付ける事にしました。

気になる保険料に関しては、(これら補償内容に対して)1年間で24,220円でした。

今回の経験を経て“この金額でこれらリスクをカバー出来るのであれば、検討する余地は充分にあるのでは”と感じています。

ちなみに、その後は私の所有する他の築古のアパートについても同様の「家賃保証保険」に加入しました。

(※この様な保険に関してご興味のある方は、最寄りの保険代理店さんへ確認される事をお勧めします。)

5か月後に新入居者、その後物件購入者が決定

そして空室になった部屋は5カ月ほど掛かりましたが、無事決めて頂く事が出来ました。

もちろん今回の件をきちんと告知したうえで了承頂けるという男性の入居者様でした。

家賃は管理会社さんの提案通り1,000円下げさせて頂いた金額に。

今回の入居付けを経験から学んだことは「このような事故が起こった場合でも、適切に対応すれば次の入居者を決める事も出来る」ということ。

大変貴重な経験となりました。

その後ほどなくして、この物件の売却に関しても購入希望者さんが現れました。

当然、今回の一連の出来事は告知し了承をいただきました。

物件価格に関しては指値交渉が入りましたが、何度かの交渉で価格面でも折り合いがつき無事に契約成立・売却に至りました。

全ての対応を終わって、他の物件と同様に多くの学びを得る事が出来たと感じています。

入居者に寄り添う大家を目指す

最後に、今回の一連の出来事を経験して、“知っている(つもり)”と“実際に経験する”のとではやはり全く異なる事が分かります。

そして、今後もこれらのリスクとはいつも背中合わせでもあります。

その事に対し我々大家としては、その事から目を背けることなく

  • 正しい知識を身に付ける努力をする
  • 起こった出来事に対し「最終的には自身が責任を取る」という覚悟を持つ
  • 丸投げはせず適宜報告を受け出来る事をする
  • 信頼出来る専門家・パートナーを持つ

などが必要であると改めて実感する事が出来ました。

最初はどんな人でも初めてです。

それらに備え実際に経験した時に初めて知識が身に付き、同様の事象にも積極的に対応する事が出来るのだと思います。

今、大家業を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。

全国のセミナー会場に足を運ぶと、これから大家業を始めたいという方の割合が、ここ数年で急速に増えてきていると肌で感じています。

それだけ大家業という事業の認知度が広がってきているのと同時に、今の世相を反映しているのだと思います。

この大家業界が多くの方に認知され、活性化されるのはとても良い事だと思います。

「大家業」というものは多くの人の役に立てる素晴らしい事業です。

だからこそ真摯に向き合い、数字だけではなくその先にいる入居者様の事も考えられる大家でありたい。そう思います。

それではまたどこかでお会いしましょう。

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-不動産コラム・取材