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高齢者向け不動産会社「R65不動産」のこれまでと今後(山本遼氏) | トチカム
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賃貸事業×高齢化社会

山本氏寄稿記事トップ画像

「R65不動産」の事業を紹介
~豊かで滑らかな暮らしを目指す~

 

今回は不動産会社R65不動産代表「山本遼」氏にご寄稿いただきました。

「自分の生き方を全うできる豊かで滑らかな暮らし」を実現するため、2015年にR65不動産を起業した山本氏。

  • 高齢者の賃貸契約の現状
  • R65不動産の設立から今に至るまで
  • 手掛ける事業内容

など、「年齢にとらわれない自分らしい人生の追求」をテーマにした山本氏の取り組みをご紹介いただきました。

高齢化社会における不動産経営のヒントが詰まった内容となっています。

【寄稿者プロフィール】

やまもと  りょう
山本 遼
株式会社R65取締役代表

65歳以上の方向け賃貸住宅の紹介・斡旋し「いくつになっても豊かな暮らし」をテーマにR65不動産を運営しています。
最終的にどこの不動産会社でもいくつの方でも賃貸を借りることができる、R65不動産が無くなる未来を作っています。

R65不動産:https://r65.info/
ポックリ物件.com:http://pokkuri.site/

「R65不動産」はどんな会社?

R65不動産=高齢者向けの物件を紹介する不動産会社

高齢者の方は賃貸物件を借りにくいと言われています。

実際に、心身ともに健康であるにも関わらず年齢だけを理由に契約を断られてしまうケースは珍しくありません。

R65不動産はそんな高齢者の方向けに賃貸物件を紹介する不動産会社です。

  • 悲しい思いをする高齢者の方を少しでも減らしたい
  • 年齢に関係なく自分らしい人生を追求するお手伝いがしたい

と思って立ち上げました。

高齢者向けの不動産会社は、これまでありそうでなかった会社。

ないのであれば、つくってしまえばいいと思いました。

目指しているのは誰もが年齢にとらわれず自立して生きる、“豊かで滑らかな暮らし”です。

  • R65不動産を立ち上げたきっかけ
  • 経営を開始してから現在に至るまで

について、少しお話させてください。

高齢者が賃貸物件を借りにくい理由

高齢者の方が賃貸物件を借りにくい理由は、ひとえに

  1. 孤独死してしまう
  2. 健康状態により家賃の支払いが途絶える

等のリスクが想定されるからでしょう。

孤独死のリスクがある

誤解を恐れずに言えば、オーナーさんや不動産会社側が孤独死のリスクを避けたがるのは仕方のないことなのかもしれません。

高齢者の一人暮らしは、万一誰にも気づかれずに亡くなった場合は発見まで長い時間がかかる場合もあります。

その際に発生する

  • 清掃費
  • 遺品整理
  • その後の手続きにかかる工数

などを考えると、よほど特別な事情がない限り契約を断られてしまうのが想像できるでしょう。

入居中のトラブル発生のリスクが高い

入居中に発生し得る様々なトラブルも懸念点として挙げられます。

  • 家賃支払いの滞り
  • 認知症の発症による怪我・深夜徘徊・騒音

など、考えられるトラブルはたくさん。

残念ながら、このようなリスクを改善する策を練るよりも未然に防ぐ(=契約を断る)選択をする不動産会社の方が現状多いです。

R65不動産の立ち上げに至るまで

高齢者の現状に疑問を抱く

私が愛媛県の不動産会社に新卒で入社した頃、先輩や上司の教えに則って仕事で重視していたのは“効率性”。

面倒ごとやあらゆるリスクを回避するため、高齢者からのご相談は最初から断ることを念頭に聞いていました。

疑問を抱き始めたのは、社内で売上ナンバーワンを獲得し東京支社へ転勤になった入社2年目の頃です。

「選択肢の限られた社会のままでいいのだろうか?」と率直にそう思いました。

健康で元気でも、年齢を理由に物件を借りられない高齢者の方たちは介護施設へ身を寄せるしかない現状。

単純に自分だったら嫌だと感じ、気づいたら自分にできることは何なのかを必死に考えていました

自分らしく生きれる社会を目指すーきっかけは祖母の背中

”効率重視”な働き方をしてきたこれまでの人生を省みながら、浮かんできたのは祖母の背中でした。

幼少期は両親が共働きで自宅にいないことが多く、学校が終わってから祖母の家へよく遊びにいってました。

祖母は

  • 女性でありながら学校を首席で卒業した(当時では珍しい)
  • 薬剤師の資格をとって薬局を切り盛りした

という胆力のある人でした。

自分の足で立ち人生を舵取りしていた祖母。

引き際も自ら決めた生き様は最期まで格好よかったことを覚えています。

祖母は病気と戦いながらも、亡くなる2年前まで薬局の看板を守り続けました

彼女にとって、それが「生きたい人生」だったのでしょう。

祖母の生き方を通して

  • 「自分らしい人生を生きるのに、年齢や性別なんて関係ない。」
  • 「誰もが自分だけの人生を、自分の生きたいように生きることができるはずだ。」

と、子どもながら漠然と感じていました。

祖母のように誰もが自分の生きたい人生を全うするには、現状用意された選択肢があまりにも少なすぎます。

心身ともに健康でも持ち家がなく賃貸物件も借りられない高齢者の方は、介護施設などに身を寄せるしかないのが現実です。

「自立した人生を生きていけない現状をなんとかしたい」と思ったのが、R65不動産を起業するきっかけとなりました

身ひとつでの起業を決意

当時勤めていた不動産会社は、入社4年目の5月に退職しました。

愛媛県を軸に地域密着で30年続いてきた歴史ある会社であるにも拘わらず

  • どんどん新しい挑戦をする
  • 特許を取得する
  • 若手に仕事を任せてくれる

といった、とても良い会社でした。

だからこそ、独立するには複雑な思いがつきまといました。

仕事を面白く感じる反面、自分のやりたいことを好きなだけやろうと思ったら可能性が狭まってしまうのも事実。

考えに考えを重ね、身ひとつで起業しようという決意に至りました

R65不動産のこれまでの歩み

多くの課題を学んだサイト運営

R65不動産を始めるにあたって、まず始めたのはサイト運営。

高齢者の方向けに年齢を問わず契約できる物件情報を集めたサイトを作成しました。

しかし、当時は何歳になっても自立した人生を送るお手伝いがしたい気持ちが先行するばかり。

何から手をつけたらいいのかわからなかったというのが本音でした。

当初のサイト運営から徐々に不動産経営へと移行しました。

移行する過程で学んだたくさんのことが現在も活かされていると感じます。

その一つが、高齢者の方にとって賃貸物件の契約には様々なサポートが必要だということ。

  1. ネット上のみで完結させることはほぼ不可能
  2. 実際の手続き代行など顔を合わせての援助が必須

だとわかりました。

その他、先述した高齢者が賃貸物件を借りる際の課題解決に向けた具体的な施策の用意も急務でした。

借りる側・貸す側双方が安心できるシステムを開発

オーナーさんや不動産会社にとって最も避けたいリスクは孤独死。

少しでも不安材料を取り除くため、2種類の見守り機器に各種保険を合わせた「R65あんしん賃貸パック」を作りました

見守り機器は

  1. 毎月の電気使用量を計測・記録して例月と異なった数値を検知した
  2. 12時間または24時間自宅の電気を使わない

場合に知らせが届く2つのタイプを用意しています。

こういった見守りシステムは行き過ぎると監視システムになりかねません。

危険のないようにあくまでも普段は見守りを徹底。

そして有事の際にはすぐ行動できるバランス感覚を重視しました。

また、室内で亡くなった場合の清掃・遺品整理についての保証もあります

借りる高齢者の方も、貸すオーナーさん・不動産会社も双方が安心できる仕組みの構築を目指しました

立ち上げ当初は具体的な戦略やゴールもなく走り出してしまった感覚が強く、なんともお恥ずかしい限りでした。

しかし、多くの人の助けがあってここまでくることができたと思っています。

シェアハウスやスナックを通して居場所づくり

R65不動産の話とは少々逸れますが、並行して2020年現在では

  • シェアハウス…吉祥寺や世田谷などに合わせて10棟
  • スナック…松陰神社前駅に1軒

の運営もしています。

「不動産経営者が、なぜシェアハウスやスナックを?」と思われる方が多いかもしれません。

ただ、根底に流れているのは

  • 誰もが何歳になっても自分らしく生きられる社会
  • 自分のやりたいことを最大限に追求できる生き方

という、R65不動産とまったく同じビジョンです。

自分自身の理想でもありますが、“豊かで滑らかな社会”を実現させたいと考えています

そのための手段がR65不動産の起業であり、シェアハウスでありスナックなのです。

誰もが生きやすい社会の実現へ

やりたい事に向けて目に見える行動を起こす

皆さんにとって、「自分らしく生きられる社会」とはどんな社会ですか。

また、自分のやりたいことを「最大限に」追求できる生き方とはどんな生き方でしょうか。

  • やりたいと思えることを自分の中で明確にして精一杯やる
  • 目に見える行動として表す

ことで、より“生きやすい社会”に近づけると思います。

私にとっては、何の気兼ねもなくふらっと遊びに来られる居場所を作ることがやりたいことの一つでした。

実際にそこは経営者・山本遼としての顔を持ちながらも自然体でいられて、友人同士で本音を交わす貴重な場所になりつつあります。

  1. 何歳でも安心して住む場所を探せる未来
  2. 「あったらいいな」「これやってみたいな」という欲求

この両方がスムーズに結実する社会づくりは、少しずつですが着実に目標に近づいている実感があります

今後も「R65不動産」の挑戦は続く

R65不動産は2015年に起業し、2020年で5年目に突入します。

今では下記のプロジェクトを展開し、活動の幅を広げている不動産会社です。

◇シェアハウスやスナックの運営

◇ポックリ物件.com
→コンセプト:「最期まで住みたくなる、死ぬまで住みたい」
前入居者が自然死をむかえた物件を中心に紹介する

これからも、どんどん新しいことに挑戦していくことになるでしょう。

生涯現役で暮らせる街づくりをしていきたいと思います。

例えば、1万坪を目安に多世代で暮らせる街を整えていきたいです。

事業の根底にあるのは、「自分や周りの人が、自分らしく幸せに」という思いです。

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-不動産コラム・取材